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那須川天心、大晦日対決への覚悟。
日本人には無敗の江幡塁と頂上決戦!
posted2019/12/27 19:00
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
Susumu Nagao
那須川天心は自室にチャンピオンベルトを飾っていない。チャンピオンの象徴というべきものに価値を見出していないのだ。
キックボクシングの世界では自分が獲った複数のチャンピオンベルトとともに写真を撮り、それを宣材写真に使うケースが多い。
那須川は「価値観は人それぞれ」と前置きしながら、「自分はそういう写真を撮りたいと思ったことは一度もない」と打ち明けた。
なぜ?
「ベルトを持っていないと強いと思われない風潮がイヤなんですよ。僕はベルトを持っていなくても、『コイツは強い』と思われたい」
「大晦日の借りは大晦日でしか返せない」
今年はホームリングである「RISE」で開催された-58kg級の世界トーナメントに出場し、大方の予想通り優勝した。那須川は「ひじょうに世界観のある、いままで日本にはないようなトーナメントだった」と振り返る。
「だから試合の準備期間はワクワクして楽しかったし、この大会で優勝したら超うれしくなるだろう。皆さんにもっと認めてもらえるのではないかと期待していました。でも、実際に獲ってみたら、全然満足できなかった」
那須川は現在より未来を、肩書より名前を重視する。そういう意味で格闘技界恒例の大晦日開催のビッグイベントに出ることはひじょうに重要だ。
昨年大晦日の「RIZIN」で実現したフロイド・メイウェザー・ジュニアとの“エキシビションマッチの枠を越えたエキシビションマッチ”は、世間に大きなインパクトを残した。
非公式戦だから記録には残らない。しかし、那須川の胸中には「やられてしまった」という苦い思い出として記憶されている。
「大晦日の借りは大晦日でしか返せないと思っています」
今回12月31日の那須川のマッチメークは難航した。
大晦日という大舞台に相応しい相手でなければ、那須川も世間も納得しない。しかしながら12月になってからようやく手応えのある対戦相手が名乗りを挙げた。国内では“最後の大物”といわれる江幡塁である。