月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
2019年のスポーツ紙の主役はシブコ。
あのゲンダイも褒める言葉力と笑顔。
posted2019/12/31 08:00
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph by
AP/AFLO
今年のスポーツ界の主役は誰だろう。ラグビー日本代表はもちろんだが、スポーツ紙に最もハマったと言えばゴルフの渋野日向子ではないか。
時系列で確認するとその大化けぶりがよくわかる。スポーツ報知が振り返っていた(12月18日)ので紹介しよう。
まず3月。『渋野日本人最速2戦目Vへ。3差5位』(3月17日)。
このとき渋野は『1998年度生まれの“黄金世代”の伏兵が日本人最速優勝に挑む』と紹介されていた。伏兵ですよ、伏兵。
その2カ月後、ワールドレディスサロンパスカップで大会史上最年少「20歳178日」でツアー初優勝。
見出しは『初優勝なんですけどぉ~日向子』(5月13日)
令和初のメジャー制覇でもあり、今から思うとドラマが始まっているのだが、渋野は「私で良かったんでしょうか?」。見出しは「シブコ」ではなくまだ「日向子」である。
そしてあの8月。
『世界が仰天 渋野全英V』(8月5日)
ここからのスポーツ紙での活躍ぶりは圧巻。ラウンドの合間のお菓子などにもスポーツ新聞が食いついた。当然だ。これはオヤジの伝統芸なのです。2018年平昌五輪・カーリング女子の「もぐもぐタイム」を思い出してほしい。ついでに「そだねー」も。
そして帰国時。
『スマイル凱旋フィーバー 渋野 6億円超』(サンスポ・8月7日)
フィーバー来ました。今後予想される収入も親切に予想してくれている。
鈴木愛もしっかり覚えた。
12月には賞金女王争いのクライマックスがあった。
『きょう逆転 渋野「優勝」』(報知12月1日)
『愛に及ばず賞金2位 「100点」渋野』(12月2日)
賞金女王は争いは2位になったが、紙面は連日一面。ここまで2位が騒がれると逆に私は女王・鈴木愛に興味を持った。すると最終戦の前に鈴木愛に関するこんな記事が。
《吉兆アイテムもゲットした。今季自身最長タイの6連戦。26日は「ちょっと疲れはある」とコースには行かず、完全休養でリフレッシュ。宮崎市内のイオンモールに出かけ、最近は毎週休みに必ず行う趣味のクレーンゲームに熱中した。》(報知・11月28日)
休日はイオンモールでクレーンゲームに熱中!
《ファンの7人組グループ「GENERATIONS from EXILE TRIBE」や「アナと雪の女王」がデザインされた水筒などを狙って計1万円をつぎ込み、景品15個をゲット。》(同)
この好感度あふれるエピソード。おかげさまで賞金女王・鈴木愛もしっかり覚えた。渋野人気はゴルフ界全体の底上げにもなっているということなのかも。