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ガットゥーゾが混乱ナポリを再建中。
選手の魂に訴える“闘犬”の指導術。
text by
神尾光臣Mitsuomi Kamio
photograph byGetty Images
posted2019/12/27 11:15
テクニカルエリアでもやはり闘犬ガッドゥーゾ。現役時代と変わらないスタイルを見ると嬉しくなる。
不運を乗り越え2カ月ぶりの勝利。
「精神面で問題があり、困難な局面だ。不運だったとは思わない。自分たちに落ち度があったから負けた。プレッシャーのかかる場面でどうプレーをするかという点について、もっとトレーニングを積んでいかなければならない」
新監督は、試合後の記者会見で厳しい言葉を述べた。
17節のサッスオーロ戦は、もっと大変なことになる。高い位置からプレスを掛けたのち、効率的に相手のスペースを陣取るパスサッカーを仕掛けてきた相手に防戦一方。選手個々のテクニックが高く攻撃的なナポリがやりたかったサッカーを、簡単にやられた挙句に、19歳のハメド・ジュニオール・トラオレにゴールを決められる最悪の前半となった。
もっとも、そこからナポリは踏ん張った。
GKアレックス・メレトが好セーブを連発して試合の均衡をギリギリ保つと、57分にアランがブラジル人らしい華麗な足技からシュートを決めて同点に追いつく。
ここでガットゥーゾ監督は調子の上がらなかったファビアン・ルイスを下げ、エリフ・エルマスを投入。そして終了間際にCKを得ると、その彼が相手選手にプレッシャーをかけ、オウンゴールを誘った。地獄の展開から逆転勝利。ナポリにとってはリーグ戦で9戦ぶり、およそ2カ月ぶりの勝ち点3だった。
「選手の魂に訴えていきたい」
「(就任してから)10日間、自分についてきてくれた選手たちを讃えたい」
試合後に選手たちの健闘に感謝したガットゥーゾ監督は、こう言葉を続けた。「今後も選手たちの魂に訴えていきたい。私はこうやってチームを鍛えていく方法しか知らない」と改めて指導方針を口にした。
選手時代は泥臭く体を張って数々の栄冠を勝ち取り、指導者としては困難に直面する様々なチームを支えた“闘犬”は、悩める強豪から自信と闘志を引き出そうとしている。