オリンピックへの道BACK NUMBER
柔道、体操、競泳、バド女子……。
東京五輪代表選考“激戦区”を展望。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2020/01/05 20:00
2019年4月、全日本選手権の個人総合でまさかの予選落ちを経験した内村(中央)。
ドラマを生む競泳の「一発選考」。
体操同様、大会の前半にメダル獲得が期待される競技として、競泳がある。
現段階では、2019年夏の世界選手権金メダルにより、瀬戸大也が200mおよび400m個人メドレーに内定しているが、他の種目はまだ決まっていない。
選考基準は、今年4月の日本選手権で、設定された派遣標準記録を突破した上で、1位ないしは2位になること。いわゆる「一発選考」である。実績などを考慮しない、明確な選考は、過去の選考においても印象的な場面を残してきた。
リオデジャネイロ五輪の代表選考を兼ねた日本選手権では、北島康介が平泳ぎ100mで2位となった。だが、タイムが規定に届かなかったため、代表入りはならなかった。
出場する日本の枠はあるのに入れなかったことで、「代表に選ぶべきでは」という声も上がった。
それでも、日本水泳連盟は基準を覆すことはなかった。その明確さに、競泳が強くなった、好成績を残せるようになった理由があり、また選手にとっては突破すべき壁でもある。
その試練は、リオ五輪400m個人メドレー金メダルの萩野公介にとっても変わらない。いかなる実績があっても、北島の例同様、あくまでも選考基準を突破することが求められるからだ。
昨年、一度は休養をよぎなくされ、でもそこから再起した萩野、あるいは他の選手たちにとっても、選考レースへ向けて、油断のできない日々が続いていく。
ここで取り上げた競技に限らず、代表選考がこれから始まるたくさんの競技がある。真剣勝負の日々を過ごす選手たちの、悔いのないパフォーマンスを祈りたい。