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メジャーの補強に「聖域」はない。
MVPクラスの選手がトレード対象に?
posted2019/12/25 11:15
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
AFLO
「Untouchable=アンタッチャブルなんて信じていないだけです。どうして自ら(補強の)限界を作るのですか?」
――カブスのセオ・エプスタイン編成本部長(昨年のウインターミーティングより)
スティーブン・ストラスバーグがナショナルズからFAになって7年総額2億4500万ドル≒約269億円で同球団と再契約し、ゲリット・コールがアストロズからFAになって9年総額で3億2400万ドル≒同356億円でヤンキースに移籍した。
そしてアンソニー・レンドン三塁手がナショナルズからFAになって7年2億4500万ドル≒約269億円でエンゼルスに移籍した後、メジャーリーグのストーブリーグは元MVP選手とその有力候補がトレードされるか否かという話題が中心になっている。
1人はレッドソックスの昨年のア・リーグMVPムーキー・ベッツ外野手、もう1人はMVPこそ獲っていないものの、過去4年の同賞投票で毎回名前が挙がるインディアンスのフランシスコ・リンドーア遊撃手だ。
FA権を取得する前にトレードに。
今が全盛期とも言えそうな有力選手たちが、Untouchable=アンタッチャブル(触れない選手)ではなく、トレードの対象になる理由は、彼らがいずれもFA権を取得するカウントダウンに入っているからだ。
つまり、「コールのようにFAとなってチームを出ていくか、ストラスバーグのように再契約しても年俸が高騰するのは確実なので、今の内にトレードに出して他球団の即戦力か有力な若手選手を獲得した方がいい」という判断である。ベッツは残り1年、リンドーアは残り2年でFA権を取得する見込みになっている。
両者の内、他球団から強い関心を持たれているのはリンドーアの方だ。それは彼がベッツよりも優れた選手だという意味ではなく、獲得を狙う他球団にとって「FAまで残り1年のベッツよりも、FAまで残り2年あるリンドーアの方が有力な交換要員を何人も差し出す価値がある」と判断できるからだ。