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メジャーの補強に「聖域」はない。
MVPクラスの選手がトレード対象に?
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2019/12/25 11:15
フランシスコ・リンドーアクラスの選手でも、メジャーでは普通にトレードの対象になる。補強に聖域はないのだ。
FAまで1年だと好条件はつけづらい。
一方、来年1年しか支配下に置けないベッツには、リンドーアやイエリッチと同等の交換要員を提示される可能性は低い(提示されれば即トレード締結となるだろう)。
当該球団間のニーズに合わせて、同じようなFA権取得前の有力選手との1対1交換か、マイナーリーグでプレーするランクの低い有望株が交換要員として差し出される可能性が高い。
前者はあくまで優勝を狙うための補強。後者は年俸総額削減のためなので、レッドソックスが後者になる可能性は低いだろう。
FAを取得させないための「1日」。
ベッツとリンドーアの他にもう1人、気になる選手がいる。それはダルビッシュ有投手がいるカブスのクリス・ブライアント内・外野手だ。
2016年のナ・リーグMVPブライアントは去年のオフからトレードの噂のある選手だが、現在は扱いが難しい。
というのも、通常183日前後のシーズンで25人枠に172日間はいっていれば1年とカウントされるルールをカブスがうまく利用してメジャー・デビューを意図的に遅らせ、メジャー初年に171日間しか25人枠に入れなかった。
それに選手組合が異議を唱えており、その「わずか1日」を巡って「ブライアントはFA権取得まで2年なのか、それとも1年なのか」の協議が進行中だからだ。
今年のウインターミーティングでセオ・エプスタイン編成本部長は、地元メディアにこんなコメントを残している。
「(FAまで1年か2年かの)結論が出る自信はあるが、タイミングには少し不満がある。現時点で分かっていれば良かったのにと思う。我々はウインターミーティングにいるのに結論が出ていない」
それを「ブライアントのステータスさえ確定していれば、全球団の経営陣が一堂に会する同ミーティングの際に、トレードの交渉がし易かった」と捉えるのは簡単で、カブス・ファンはそれだけでも大いに盛り上がる。