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扇原貴宏「マリノスを常勝軍団に」
10年目で掲げた初めてのシャーレ。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byGetty Images
posted2019/12/10 15:00
ボランチでコンビを組んだ喜田とともにシャーレを掲げた扇原。怪我から始まったプロ生活、10年目でようやく初タイトルを掴んだ。
「やっぱり2個、3個ほしいな」
FC東京戦後のミックスゾーン。優勝記念Tシャツを身にまとった状態で姿を現した彼に、改めてプロ1年目のことについて話を聞いてみた。
「今年も『これから』という時に怪我があって、その間のリハビリは正直辛かったです。ただ言い方はアレかもしれませんが、あのルーキーの1年間に比べたら短い期間ですし、あの経験を生かすことが出来たと思います。これまで怪我を含め、いろんな経験をしましたが、それがすべて生きているんだと改めて感じたし、こうしてまだサッカーをやれていることが本当に幸せだと感じています。本当にきつかったですね。あの時は……」
こう口にしながら、遠くを見つめる目が印象的だった。もちろんいつまでも感慨に浸っているつもりはない。28歳、まだまだ先のサッカー人生はある。
「初タイトルなので、嬉しい気持ちもありますが、やっぱり1個取ったら、2個、3個ほしいなという気持ちはすでに湧いてきています。これに満足せず、これからマリノスが常勝軍団になっていけるようにやっていきたいと思っています」
優勝で改めて気がついたこと。
どんな時も、決して下を向くことなく前に進み続ければ、目標がある限り、必ず報われる日が来る。あの怪我も決して無駄ではなかったし、あの時に自分を救ってくれた先輩たちの言葉の意味もより深く理解することができた。あの1年間は扇原にとって、プロとして高く飛び続けるための重要な土台であったのだ。
それを改めて学んだ優勝だった。だからこそ、それをこれからも変えてはいけない。
「プロ10年目ですけど、ずっと人のせいにしないとか、すべてのことに自分に責任があると言い聞かせてきた。試合に出られないのも自分の責任だし、全部自分次第で(現実が)変わると思っている。それはこれからも変わりません」