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J3最下位から一気に優勝の北九州。
J2昇格に至る密かなる革命の記録。
posted2019/12/10 11:50
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph by
J.LEAGUE
「Jリーグアウォーズ」に当事者が呼ばれない、「やべっちF.C.」にも1秒たりとも取り上げられない。しかし、これは今季のJリーグで起きた確かなミラクルだ。
ギラヴァンツ北九州、J3リーグ優勝。
19勝9分6敗の何がスゴいのかというと。「前年最下位から一気に優勝」を達成したのだ(前年は6勝9分17敗)。26年のJリーグ史上初の出来事。クラブは昨季のJリーグ最底辺“57位”から、一気に来季のJ2昇格を勝ち得た。それも2016年までJ2に在籍したチームからすっかり入れ替わったメンバーで達成したのだ。
「昇格請負人」と呼ばれてきた人物。
一体、何が起きたのかというと、大きな変化はこの点だ。
監督が替わった。
「どうも~いいおじさんです」
12月1日の優勝決定後、ホームでのセレモニーで自らこうあいさつした小林伸二監督の存在だ。
2019年シーズンからギラヴァンツ北九州の監督に就任した。前年までは解説者を務めていた。そこまでの監督キャリアでは「昇格請負人」と呼ばれてきた人物だ。過去、大分、山形、徳島、清水を昇格させた。いっぽうで2009年にモンテディオ山形(当時J1)の練習場を取材した際には、現地でこんな話も聞いた。「守備の練習をずっとやってますよ。ホント、守備戦術が好きみたいで」。当時のチーム状況もあったのだろうが。
小林が就任した当時のギラヴァンツ北九州はどん底にあった。なにせ、2014年にJ2で5位(Jリーグ全体で“27位”)に入ってからわずか4年で“57位”に。J2で最下位になった2016年は、任期4年めだった柱谷幸一監督がカウンター攻撃にポゼッションの要素を加えようとしたが上手く行かず、順位を15位落としてのまさかの降格。