“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER

扇原貴宏「マリノスを常勝軍団に」
10年目で掲げた初めてのシャーレ。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2019/12/10 15:00

扇原貴宏「マリノスを常勝軍団に」10年目で掲げた初めてのシャーレ。<Number Web> photograph by Getty Images

ボランチでコンビを組んだ喜田とともにシャーレを掲げた扇原。怪我から始まったプロ生活、10年目でようやく初タイトルを掴んだ。

ハマったキーボーとのコンビ。

 復帰は天野純がベルギーに移籍した直後の7月。第19節浦和レッズ戦で約1カ月半ぶりにピッチに立った。出場停止もあったが、そこから第33節の川崎フロンターレ戦まで、喜田とともに不動のボランチコンビとしてチームを支えた。

「ボランチは攻守の切り替えでのポジショニングが凄く大事なポジション。マリノスには前に派手な選手が多いので、ボランチだったり、DFラインがシンプルにやって、つなぎ役をしてチームをうまく循環させることが大きな仕事でした。キーボー(喜田)がセンターラインに軸を作ってくれるので、凄く試合に入りやすかった。周りのみんなが本当にスペースを見つけるのがうまいからこそ、どこにスペースがあって、どこが空くのか、誰が入ろうとしているのかを見逃さないことを心がけました。観察力、洞察力がこのサッカーをやることで向上したと思います」

 高いボール奪取力と的確なポジショニングでボールの経由地として機能する喜田と、抜群の動き出しで次々とスペースに入り込む味方に対し、正確無比な長短のパスを供給してゲームを組み立てる扇原。相性抜群のコンビが中心となり、出場停止明けの第24節の名古屋グランパス戦からは川崎戦までの10戦負けなし(9勝1分)という破竹の快進撃を実現した。

シャーレを掲げ「一番幸せな瞬間」。

 川崎戦で累積4枚目の警告を受け、FC東京戦は出場できなかった。だが、彼の貢献度はそれで色あせることはない。

「僕はキャプテンの1人でもありますし、練習でしかチームを引っ張れないと思ったので、(FC東京戦までの)この1週間は誰よりも先頭に立ってチームの士気を上げられるように、少しでも決戦に向けていい練習ができるように意識して過ごしました」

 喜田とともにチームキャプテンとしての自覚を持って、1日1日を過ごしてきた。だからこそ、自分がピッチに立てなくても、優勝は格別なものであった。

「プロに入ってから優勝をずっと目標にしてやってきた。自分の夢を諦めずにやってきて、今日この瞬間に立ち会えたのは幸せだなと思います。それにキーボーの後にシャーレをあげさせてもらったのは、サッカー人生の中で一番幸せな瞬間でした」

【次ページ】 「やっぱり2個、3個ほしいな」

BACK 1 2 3 4 5 NEXT
#横浜F・マリノス
#扇原貴宏

Jリーグの前後の記事

ページトップ