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異例の投手転向、プレミア12で自信。
オリックス張奕「来季は10勝が目標」。 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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posted2019/12/05 11:40

異例の投手転向、プレミア12で自信。オリックス張奕「来季は10勝が目標」。<Number Web> photograph by Kyodo News

今季は5月に支配下登録され、8試合で2勝4敗、防御率5.93。プレミア12では台湾のエースとして活躍した。

韓国戦では志願して7回途中まで。

 しかも韓国戦は、シーズン中には経験したことがない中5日での先発登板だった。日本を除くアジアの最上位国には来年の東京五輪の出場権が与えられることもあり、韓国戦は特に重要な試合と位置付けられていた。

「(ベネズエラ戦から)あの韓国戦までの期間は本当に、スタッフさんが体のケアをしっかりやってくれたり、自分自身も、練習はしながらもしっかり体を休めて、ちゃんと食事も管理して栄養を摂って、睡眠も十分にとって、韓国には絶対に勝ちたいと、その日にかけていました。それぐらいの準備を、来年は毎試合、シーズンを通して、自分自身でやっていきたいですね」

 韓国戦は5回まででいいと言われていたが、「行きます」と志願して7回途中まで投げた。

 台湾は韓国に7-0で勝利したものの、最終順位は5位に終わり、今大会での五輪出場権獲得はならなかったが、張にとっては収穫の多い大会だった。

今年のオフは母国・台湾で。

 プレミア12のオープニングラウンドBグループの試合は台湾で開催され、張は約4年ぶりに母国に帰国した。いつのまにか日本食にすっかり慣れてしまい、台湾料理が体に合わなくなっていたという。

「嫌いではないんですけど、昔いつも食べていたものが、なぜか合わなくなっていて、体にちょっと異変を感じて、トイレの回数が増えました。だからできるだけ濃くない、軽めのものを食べるようにしました」と苦笑する。

 プロ入りが決まってからは、オフシーズンも台湾には帰らず、日本でトレーニングを続けてきた。台湾には昨年まで徴兵制度があり、18歳以上の社会人男性は1年間の兵役義務があった。そのため、台湾に帰れば1年間日本に戻って来られなくなる。日本の球団は1年も待ってくれないため、張は葛藤をずっと抱えていた。

 しかし昨年、軍の徴兵制が志願制に移行され、兵役義務はなくなった。それでも4カ月間の軍事訓練の義務は残ったが、台湾代表に選出されると、それが12日間に短縮される。

 そのため、今年のオフは台湾で過ごすことができる。張は12月2日に契約更改を済ませると早々に帰国した。代表で共に戦った選手と一緒にトレーニングをしたり、体について学ぶという。1月には12日間の訓練に参加して義務を果たし、2月のキャンプに戻ってくる。

【次ページ】 「先発ローテーションに定着したい」

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