野球のぼせもんBACK NUMBER
内川聖一、20年目の好奇心と悔しさ。
「二度とそういう思いはしたくない」
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/12/04 20:00
内川聖一ですら、枠を争わなければならない。プロ野球とはなんと厳しい世界なのだろうか。
オフには常に新しい刺激を求める。
その話の流れで「バレンティン、やっぱ来るんですよね?」と訊かれた。ただ、その口調は悲壮感に満ちたものでもなく、表情も明るくジョークを交えたものだった。
オフシーズンに入って、内川をはじめとしたベテラン主力選手たちは秋季キャンプが免除されていたため動向を知ることはなかったが、内川は「ほとんど休みなく動いていますよ。今日も野球教室の前、午前中は体を動かしていました」という。
「ゴルフもほとんど行っていない。いつものオフと比べたら奇跡です(笑)。若い頃は少々時間を空けても動けたけど、ある程度齢を重ねてくると一度立ち止まってしまうと、次に動きだすのが難しくなってしまうから」
内川は自ら「好奇心旺盛」というだけあって、毎オフ色々なことに挑戦をする。
近年は陸上の専門家とコラボする機会が多かった。'18年のシーズン前からは200メートルハードルの元アジア記録保持者の秋本真吾氏とトレーナー契約を交わしたり、それ以前にも3度の五輪出場経験を持つ女子短距離走界のトップアスリートである福島千里と合同トレを行ったりした。
身体の使い方や加齢とともに衰えてくる瞬発系の向上などを主な目的としていたのがここ最近の傾向だったが、今オフはその考え方を大きく変えたトレーニングを行っている。
今年はパーソナルトレーナーと契約。
「このオフはトレーナー野田さんと契約をして、トレーニングをしたり打ち込んだりしています」
パーソナルトレーナーの野田愛信(よしのぶ)氏の門を叩いていることを明かした。
野田氏はこれまでもホークスの複数の選手と契約を結んでいた実績がある。たとえば長谷川勇也だ。ほかに以前ならば江川智晃(今季引退)、投手でも藤岡好明(現ベイスターズ)や神内靖('14年引退)の名前が挙がる。
野田氏のもとでトレーニングを積んだ選手たちは体が強く、そして大きくなったという印象が強い。