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スター集結のデ杯でスペインが優勝。
“夢の球宴”新フォーマットの中身。
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph byGetty Images
posted2019/11/27 11:00
新生デビスカップの初代王者となったスペイン。ナダル(右から2番目)らを擁した実力派軍団だった。
地元スペインがからまないと……。
その英国を含め、地元スペインがからまない対戦では、観客の入りが悪かった。特に英国vs.ドイツという伝統国同士の準々決勝が空席の目立つスタジアムで実施されたのは残念でならなかった。
日本を含め、海を渡って駆けつけた熱心な応援団の姿もあったが、どの“アウェー”チームも少数精鋭で、ホーム&アウェー方式で見られた圧倒的なボリュームの声援、熱量の高い応援は望むべくもなかった。
1次リーグの日本vs.フランス戦では、音量でも熱さでも日本の応援団が優勢だった。
フランスは本来なら大応援団が駆けつけるはずだが、ヤニック・ノアら歴代のデ杯監督が新フォーマットを批判したことにファンも同調、その意思表示として応援を自粛したようだ。
空席の目立つ観客席に皮肉コメント。
数少ないフランス人観客は「見ただろ、あの空席を」と苦い顔をした。彼はマドリード在住で、3年前に全米オープンも観戦したというから、筋金入りのファンだろう。「この雰囲気、どう思う?」と逆に聞かれた。自国開催のデ杯の熱狂も知っているだけに、すきま風が吹く応援席の雰囲気が気に入らないのだ。
ダブルスに出場したフランスのエルベールは、空席の目立つ観客席について「国のためにプレーすることには変わりない」と模範解答を返したが、皮肉の利いたコメントも忘れなかった。
「ラ・マルセイエーズ(フランス国歌)を歌う自分の声が聞こえるなんて、特別な体験だった」
彼は昨年、フランス・リールで開催されたデ杯ワールドグループ決勝でプレーしている。2万人が歌うラ・マルセイエーズを聞いた耳に、この日は自分とチームメイトの歌声ばかりが大きく響いたようだ。