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スター集結のデ杯でスペインが優勝。
“夢の球宴”新フォーマットの中身。
posted2019/11/27 11:00
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph by
Getty Images
スペイン・マドリードで開催されたデビスカップ・ファイナルズ(デ杯)は、1世紀超の歴史を持つ国別対抗戦がまったく新しい大会になったことを示した。
デ杯は創設時からホーム&アウェー方式が特徴だったが、1会場に18カ国を集めて開催する方式を初めて採用、地元スペインが新フォーマットでの最初の優勝国となった。
これはデ杯ではない、デ杯は魂を売った――改革案が浮上した瞬間から、激しい反対意見が飛び交った。10度の優勝を誇る伝統国フランスはボイコットもちらつかせ、実際、反対派の急先鋒で昨年の準優勝にも貢献したリュカ・プイユは今回、メンバーに入らなかった。
楽天の三木谷浩史CEOと関係の深いサッカー選手、ジェラール・ピケ率いる投資グループ「コスモス」が運営にかかわることから、「デ杯は金で買われた」と批判する反対勢力もあった。
3セットマッチ、年1回の集中開催。
ただ、デ杯が曲がり角に来ていたのも事実。優勝するには年4度の対戦が必要な旧方式は選手の負担が大きく、ロジャー・フェデラーなどトッププレーヤーが出場を回避する傾向があった。四大大会と同じ5セットマッチも、心身への負担が大きすぎると見られていた。
今回の改革では、選手の負担を減らし、トップ選手の参戦を促すために、3セットマッチに変更、年1回の集中開催とした。また、シングルス4試合+ダブルス1試合から、単2試合+複1試合に変更。以前は5試合を3日間で開催したが、これで1対戦を1日で終えることが可能になった。
英国代表のアンディ・マリーは初戦を終えて「今のところ、何も非難すべき点はない。始まる前からこのイベントをたたいてやろうと思っていた人がいたのだと思う。まずはやってみて、最後まで見届けて、現状を見たうえで意見を示すのがフェアだ」と話した。