フィギュアスケートPRESSBACK NUMBER
氷との対話、9歳の自分との戦い──。
NHK杯圧勝、羽生結弦の理想とは?
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAsami Enomoto
posted2019/11/25 20:00
総合305.05点で優勝した羽生。2位のケビン・エイモズに55.03点差をつける圧勝劇だった。
「9歳の自分とずっと戦っています」
ファイナルでは、いったいどんな強い羽生結弦が見られるのだろうか。すると、いま追い求める理想像をこう語った。
「僕の中で9歳の自分とずっと戦っています。全日本ノービスで初めて優勝した時の自信の塊みたいな自分がいて、その自分に『お前、まだまだだろ』と言われているんです。子供の頃って、心から好きで自信がある事に、すごく素直にいられた。でも大人になるに連れて、色んな言葉、ものごと、社会のルールに縛られるようになりました。
僕の根源にあるのは、本当に自分の心からやりたいこと、自信を持てる物をスケートで出したい。今の大人になった自分と、小さい時の何でもできると思っていた自分が融合したら、最終的に『羽生結弦だ』といえる。それが僕の理想像です」
理想をここまで明確に言葉にしたのは、珍しいこと。それだけ、理想像が明確に見え、今にも掴みかけているという、彼からのメッセージのように感じた。
いよいよトリノでのGPファイナル。私達が見たい最強の羽生結弦が、完成を迎えようとしている。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。