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おしゃべりな王者と沈黙の挑戦者。
内藤哲也「2冠」の野望達成への壁。

posted2019/11/26 11:50

 
おしゃべりな王者と沈黙の挑戦者。内藤哲也「2冠」の野望達成への壁。<Number Web> photograph by Essei Hara

ジェイ・ホワイトに挑発され続けるも、沈黙を貫く内藤哲也。あれだけ饒舌だった内藤の不気味な無言劇は、今も続いている。

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原悦生

原悦生Essei Hara

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Essei Hara

 笑わなくなった内藤哲也がいる。

 しゃべらなくなった内藤がいる。

 その傍らでベルトをこれ見よがしに誇示して、挑発的なおしゃべりを続けているのがジェイ・ホワイトだ。

 内藤は年が明けた2020年1月4日、東京ドームでホワイトのIWGPインターコンチネンタル王座に挑戦する。

 現在、新日本プロレスは「ワールドタッグリーグ」のシリーズ中だが、リーグ戦には出場しない内藤はBUSHIと組んで、連日のようにホワイト、外道組と前哨戦を繰り広げている。

「IWGPヘビーとインターコンチネンタルの2冠っていうのは、元々、内藤のアイディアだったけれど、オレが史上初めてそれを成し遂げるということで、内藤は何も話すことがなくなったのかな? まあ、内藤が言い始めたことを、オレが内藤を倒して達成する。こんなに愉快なことはないからな」

 ホワイトが言うように最初に「2冠」を言い出したのは内藤である。だが、次から次へと「2冠」を狙うものは増えて現在ではついに4人に……オカダ・カズチカ、ホワイト、飯伏幸太、内藤にそのチャンスがあるという、異常事態となった。

ついにオカダも2冠挑戦を公表。

 IWGPヘビー級王者のオカダは「IWGPは安売りしない」と「2冠戦」を嫌っているように振る舞ってきたが、11月3日の大阪で突如、自ら「ファン投票で決めよう」と言い出した。

 早急なファン投票の結果「2冠戦」の得票が「IWGP」を上回る形で「当選」。

 1月5日に「オカダvs.飯伏幸太の勝者=IWGP王者」vs.「ホワイトvs.内藤の勝者=インターコンチネンタル王者」のダブルタイトル戦が行われることが決定した。

 一方で、インターコンチネンタル王者のホワイトは、こう吠える。

「オレがナンバーワンなんだ。インターコンチネンタルの王者はオレなんだ。このベルトのレベルはどんどん上がっている。今、オレの右肩にインターコンチネンタルのベルトがあるが、もう一方の左肩にIWGPヘビー級のベルトがかかるだろう。

 ファンも覚えておけよ。確かにプレッシャーはある。その重みは分かっている。でも、内藤は決してオレからベルトを取ることはできない。ただ内藤、心配するな。オレは逃げも隠れもしない。みんなに、最高のオレを見せてやる。

 オレを他のレスラーと比べることはできない。オレがどれだけすごいか、それをこれからもずっと見せ続けてやる。しかも、一方的に。そしてオレは東京ドームで、最初にして唯一のインターコンチネンタルとIWGPヘビーの二冠王に必ずなるんだ。内藤よ、何が起きているか忘れるな。オレとともに呼吸しろ!」

 ホワイトはどこまでも強気なのだ。

【次ページ】 内藤「一番大事にするべきなのは、自分の気持ち」

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