ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
田村潔司へ「真剣勝負してください」
拳王“コラコラ問答”と中邑の記憶。
posted2019/11/23 18:00
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph by
Essei Hara
プロレスリング・ノアの反体制ユニット「金剛」のリーダー、拳王の発言が波紋を呼んでいる。
拳王はノア11.2両国国技館大会で清宮海斗の持つGHCヘビー級王座に挑戦。30分を超える激闘の末に敗れたものの、ノア年間最大の舞台で堂々メインを張った、団体を牽引する存在。その拳王が再起戦となる11.9大阪大会のメインで勝利したあと、マイクをにぎり「田村潔司、俺と真剣勝負してください!」と、“孤高の天才”田村潔司に対し、突如、宣戦布告を行ったのだ。
田村潔司といえば、1989年に新生UWFでデビュー。その後、UWFインターナショナルを経て、'90年代後半には前田日明率いるリングスでエースに君臨。2002年からはPRIDE、HERO’S、DREAMなど総合格闘技のリングでも活躍した生粋のUWF戦士だ。
田村とノアは、これまで接点らしい接点はなかったが、田村がノアの9.16大阪大会をリングサイド最前列で観戦したのをきっかけに急接近。ノアの親会社であるリデットエンターテインメントの鈴木裕之社長と会談後に要請を受け、11月1日付でリデット社の社外取締役&エグゼクティブディレクターに就任することが発表された。
田村が拳王の振る舞いを問題視。
エグゼクティブディレクターとしての田村の当面の仕事は、リデット社における月数回のミーティングと意見交換など。今年に入り新体制となり、生まれ変わろうとしているノアとしては、現在の“プロレス村の常識”とは異なる見方をする田村の意見を聞くことで、内部の人間が気づかない部分の改善を図ろうということだろう。
田村はディレクター就任後の“初仕事”として、11.2ノア両国国技館大会を同社会長の長州力とともに、リングサイド最前列で観戦した。そして大会終了後にコメントを求められると、清宮vs.拳王の試合中、場外に降りた拳王が本部席の長州力を睨みつけたことを問題視。「これはガチ目でイラ立ってるんですけど、拳王が長州さんをにらんだのなら、(その態度は)許せない」と発言し、『週刊プロレス NOAH 11.2両国国技館大会詳報号』での「レジェンドの大会総括」ページに掲載された。これをきっかけに、拳王が田村に噛み付いたのだ。