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歴史に名を刻んだインディチャンプ。
春秋制覇で「真のマイル王」が誕生。
posted2019/11/18 11:40
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
淀のターフで、桁違いの瞬発力を武器とする「真のマイル王」が誕生した。
第36回マイルチャンピオンシップ(11月17日、京都芝外回り1600m、3歳以上GI)を、池添謙一が騎乗する3番人気のインディチャンプ(父ステイゴールド、栗東・音無秀孝厩舎)が優勝。インディチャンプは6月の安田記念も制しており、2015年のモーリス以来、4年ぶり、史上7頭目となる同一年の春秋マイルGI制覇という快挙をやってのけた。
主戦の福永祐一が騎乗停止となり、急きょ、池添がインディチャンプに騎乗することになった。今回が初コンビだ。
「人気の2頭(ダノンプレミアムとダノンキングリー)は強いですが、絶対に勝ちたいという気持ちでした」
そう話した池添の思いがそのまま形になったような展開になった。
好スタートから、さらに促して好位5番手のポジションを確保。すぐ左前方には1番人気のダノンプレミアム、差のない右後ろには2番人気のダノンキングリーがいるという、文字どおりの「絶好位」であった。
「ゲートに不安があると聞いていたのですが、しっかり出てくれました。左前のダノンプレミアムを見ながら進められればいいな、と思っていました」
スパートのタイミングを計る余裕まで。
前半800mは47秒2、後半800mが45秒8という後傾ラップ。これだけのメンバーのマイル戦では超スローと言っていい。
逃げたマイスタイルが先頭のまま直線に向いた。その外からフィアーノロマーノがマイスタイルに並びかけ、馬体を離した外からダノンプレミアムが仕掛けのタイミングをはかっている。
池添は、難なくインディチャンプを、フィアーノロマーノとダノンプレミアムの間のスペースに誘導した。
「直線に向いても手応えがよく、追い出しを待つ余裕がありました。一度叩いて、状態がすごくよくなっていました」
そう話した池添は、すぐにはスパートの合図を出さず、左の手綱を引いて馬を少しずつ外に出した。少しでも馬場のいい外目を走らせるのと、外から伸びるであろうダノンプレミアムに馬体を併せるためか。
「早めに抜け出すとソラを使う(よそ見をして気を抜く)ので、そうしないよう一気にかわそうと思いました」