オリンピックPRESSBACK NUMBER
高3で体操シニア初タイトル獲得!
戦略や理想、橋本大輝の5つの凄さ。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byYUTAKA/AFLO SPORTS
posted2019/11/16 20:00
10月の世界選手権では日本代表チームの最年少として初出場。団体ではあん馬、跳馬、鉄棒、ゆかの4種目に出場し銅メダルに貢献した。
その5:「美しい体操」という理想がある。
小学生の頃にロンドン五輪をテレビで見て、田中佑典の「A難度の技でもおろそかにしない、美しい演技」(橋本)に魅せられた。以後、田中が橋本のあこがれの存在になった。そして現在高校3年の橋本は来春、田中の母校でもある順天堂大学に進学することを表明した。
その田中は、スーパーファイナルでの橋本の演技を見て「春から2回りくらい強くなったという印象を受けましたね」と驚嘆していた。急成長の要因として挙げるのは世界選手権だ。
「橋本くんは世界選手権に出て、自分の体操が評価されること、良い体操をしているということを確認できたと思うんですよ。世界大会では失敗か成功かということもありますが、自分の体操が評価されるのはそれ以上に大事なことでもあります。もちろん、世界との差も見えたでしょう。まだ強くなると思います」
田中や内村航平をはじめとする日本は、リオデジャネイロ五輪で美しい体操を極めて世界の頂点に立っている。
「僕たちの美しい体操を見て、下の子が目指すと言ってくれるのはうれしいですね。ただ、今は美しさだけではなく、力強さや“決め”が必要になってきています。そこを自分なりにどう表現できるかを突き詰めていってもらえればと思います。もちろん、僕も現役ですから負けませんよ」
あこがれの人にも大いなる刺激を与えている橋本。伸び盛りの勢いは彼をどこまで押し上げていくだろうか。