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「気分はまだ“お兄さん”のまま」佐藤弘道55歳が明かす父の死、恋愛禁止、『おかあさんといっしょ』の舞台裏「もともとはあがり症なんです」
posted2023/08/25 11:01
text by
音部美穂Miho Otobe
photograph by
Shiro Miyake
◆◆◆
――1993年に体操のお兄さんになってから今年で30年。オーディションを受けたきっかけは?
佐藤弘道さん(以下、弘道さん) 日本体育大学を卒業後、教師になるつもりだったんだけど、教員採用試験に落ちちゃったんですよ。公営のプールで指導や運営の補助をしたり、スポーツクラブのインストラクターをしていたんですが、父が倒れてしまって。長男の僕が実家のやきとり屋を継ぐことにしました。
そんな時に、大学時代から付き合っていた彼女に「『おかあさんといっしょ』の体操のお兄さんのオーディションがあるらしいよ、弘道くん、子ども好きだし、受けてみたら?」と勧められて。その彼女が今の妻なんですが、彼女は当時NHKの「テレビ体操」のアシスタントをやっていたので、そのつながりでオーディション情報を知ったんです。
正直なところ、僕は「おかあさんといっしょ」をほとんど見たことがなくて。子どもの頃は民放派だったから(笑)。でも、「体操も子どもも好きだからとりあえず応募してみるか」ぐらいの気持ちで履歴書を送ったら1次審査に進むことになったんです。
オーディションで披露した「パンダうさぎコアラ」
――オーディションの雰囲気は?
弘道さん どんな服装でいくのかすら知らなくて、一応面接だから……とスーツにネクタイを締めていったら、他の人はみんなカジュアルな服装で。完全に浮いてましたね(笑)。審査では、ホワイトボードに書かれた手遊び歌の中から1曲を選んで審査員に披露する。
オーディションにあたって、さすがに番組をチェックしていたので僕が知っている歌もありました。選んだのは「パンダうさぎコアラ」という歌です。歌詞が「パンダ・うさぎ・コアラ」と「おいで」しかないので、これならいけるかなって(笑)。あとは、「ぞうさんのあくび」という当時放送されていた体操を、全員その場で振り付けしてもらい、それぞれに発表。最後に、「持ち味をアピールしてください」と言われ、僕は宙返りをやりました。
――手ごたえはありましたか?