Overseas ReportBACK NUMBER
陸上界が揺れたドーピング禍の顛末。
オレゴンプロジェクトの解散と今後。
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byAFLO
posted2019/11/01 11:40
薬物疑惑が実証されたアルベルト・サラザール。彼が陸上界に与えたダメージはなんとも大きい。
「選手たちは何の心配もいらないよ」
当のジュリアン氏はドーハでこう答えている。
「僕らは普段の練習も合宿も別々に行っている。スグルを含めて、選手たちは何の心配もいらないよ」
気になったのは次の言葉だ。
「でも、僕たちは1つのチームだから。オレゴンプロジェクトはOne teamだよ」
練習場所は別でも練習内容やフィロソフィー、目指すところは一緒という意味なのか。何をもってOne Teamと考えるのだろう。
サラザール氏の処分が発表された後に、ナイキのパーカーCEOは、同チームとサラザール氏の支援、また「組織的に行われたものではない」ことを強調。しかしそれから2週間経たないうちにオレゴンプロジェクトを解散することを発表した。
ちなみにこの問題が理由かは定かではないが、パーカーCEOはその後、退任を発表している。
大迫「僕が僕であることを続けていく」
同チームの大迫は早稲田大学3年の時、2013年春先にオレゴンプロジェクトを訪れ、大学卒業時の2014年からは拠点をアメリカに移し、活動してきた。
大迫は今回のチーム解体、閉鎖に関してSNSでこうメッセージを送っている。
「僕を強くしてくれた大切なチームが無くなるのは悲しい。だけど僕はこれからも僕を探し続け、僕が僕であることを続けていく事は変わらない。ナイキは今後も今までと変わらないサポートを約束してくださり、活動には全く支障ありません」
大迫のチームメイト達も同様のコメントを発表したが、サラザール氏の処分について言及する選手は皆無だった。しかし今回の事件にかかわらず、ドーピングそのものに対してどのような姿勢を持って選手人生を送るのか、彼らの今後の発言にも要注目だ。