ラグビーPRESSBACK NUMBER

悔しがる稲垣、飛ぶバレット……。
ラグビーW杯ベスト8の激闘シーン。
 

text by

涌井健策(Number編集部)

涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui

PROFILE

photograph byRichard Heathcote / World Rugby via Getty Images

posted2019/10/27 11:50

悔しがる稲垣、飛ぶバレット……。ラグビーW杯ベスト8の激闘シーン。<Number Web> photograph by Richard Heathcote / World Rugby via Getty Images

南アフリカ戦後、涙を流してうずくまっていた稲垣啓太。モノクロの写真で、表情がより印象的に仕上げられている。

自分自身との戦い。

10月19日 東京スタジアム
準々決勝/ニュージーランドvs.アイルランド

 オールブラックスのキャプテン、キアラン・リードが威嚇的な表情でピッチに向かう。彼を含め、選手たちは音楽を聴きながら試合へと気持ちを高めていることが多く、その姿はピッチまでの短い時間で自分自身と戦っているようかのようだ。彼の場合は、あえて威嚇的な感情を表に出すことで、自分の闘争心を掻き立てているようにも見えた。

 天井のシンプルなライトをいかし、あえてモノクロで描写することで、彼の真剣な表情を引き立てようとした1枚だ。

10月19日 東京スタジアム
準々決勝/ニュージーランドvs.アイルランド

 チームが一丸となってゴールライン手前までボールを運び、最後はSHアーロン・スミスがこの日2つ目のトライを決めた直後のシーン。

 このトライはオールブラックスの圧倒的強さを表したプレーだった。ゴールライン手前、私も含めて誰しもがスミスはパスを選択すると思っていたが、一瞬の隙をついてゴールラインめがけて突進した。油断していたことを後悔しているかのように、上手くブロックできなかったアイルランドのジェイコブ・ストックデールが転がってしまっている姿が、変幻自在のニュージーランド代表の強さを象徴しているようにも見える。

名手に尻餅をつかせるトライ。

10月19日 東京スタジアム
準々決勝/ニュージーランドvs.アイルランド

 後半、FLのマット・トッドがアイルランドのディフェンスを突破して、チーム5つ目のトライを決めたシーン。

 この試合のオールブラックスにはとにかく隙がなく、強豪のアイルランドを完全に凌駕していた。このトライはドンピシャと言わんばかりのロングキックパスで、一気にゴールライン手前までボールを運び、最後はトッドが押し込んだもの。ファインダー越しにも、パス、キック、ランのすべてが一級品なのが伝わってきた。トッドの左にいるアイルランドの司令塔ジョナサン・セクストンの尻餅姿が苦戦を象徴している。

【次ページ】 兄のアシスト、空を飛ぶ弟。

BACK 1 2 3 NEXT
#ボーデン・バレット
#キアラン・リード
#稲垣啓太
#ラグビーワールドカップ

ラグビーの前後の記事

ページトップ