ラグビーPRESSBACK NUMBER
元日本代表キッカー栗原徹が解説。
田村優のPG、新しい工夫と修正力。
posted2019/10/19 20:00
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Getty Images
桜のジャージーに脈々と受け継がれている名キッカーの系譜。
ワールドカップでプレースキックを任されているSO田村優はここまで48得点を挙げている。
10のペナルティーゴール(PG)と9のコンバージョン(数字は全て10月18日現在。以下同)。現在得点ランキングで堂々のトップに立つ。
予選プール4試合で日本が叩き出した115点のうち約4割を占める。
彼のキックが、ここまでの快進撃に一役買っていることは語るまでもない。
「史上最強の敗者」と称えられた4年前のイングランド大会では五郎丸歩がその役目を担い、日本が挙げた98得点中53得点が彼のプレースキックから生み出された。これはワールドカップ日本人最多得点記録だ。
前かがみになって人差し指を合わせる「五郎丸ポーズ」「ルーティン」が流行語となったのも記憶に新しい。
五郎丸の前は栗原の40得点が記録。
その五郎丸が更新したワールドカップ日本人最多得点記録を、その前まで保持していたのが2003年オーストラリア大会で40得点をマークした栗原徹であった。慶応大学からサントリーに進み、NTTコムで引退して同チームのスキルコーチに。今季から母校に戻ってヘッドコーチに就任している。
かつて立命館大学でキッキングコ―チを務めて成果を上げるなどキック指導の第一人者としても知られている栗原の目に、田村のキックはどのように映っているのか――。
話を進めていくその前段として、プレースキッカーには難しい大会になっていると栗原は指摘する。