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元日本代表キッカー栗原徹が解説。
田村優のPG、新しい工夫と修正力。 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byGetty Images

posted2019/10/19 20:00

元日本代表キッカー栗原徹が解説。田村優のPG、新しい工夫と修正力。<Number Web> photograph by Getty Images

ゴールの右サイドから蹴るときも田村から見て左向きにボールを倒すのが新しい工夫だという。

ウェールズのパッチェルに注目。

 栗原には今回のワールドカップで注目しているプレースキッカーがいる。ウェールズ代表の大型SO、リース・パッチェル。それこそ自分の感覚を大切にしていることが見ていても伝わってくるそうだ。

「とてもいいキッカーだなって思います。上半身を立てたアップライトの姿勢でコンパクトに足を振って、そのままキックしたほうの足でポンと着地する。アップライトなので支点が高いためよりパワーが出るし、コンパクトな振りで蹴るためキックのブレも少ない。感覚を持っている選手であれば、こっちのほうが合っているのかもしれない。今後は“パッチェル型”が主流になってくるんじゃないかって考えます」

 確かに田村をはじめアップライトではなく「くの字」に近い姿勢で足を高く振り上げるキッカーが多い。型にはめる蹴り方のため修正が効きやすいという長所はあるものの、支点が下がるために飛距離が上がらず、振り上げる分だけひっかけることも多くなる。今後、プレースキックの“最先端”が変わっていく可能性もある。

南アフリカ戦のゲームプランは?

 最後に、南アフリカ代表との準々決勝を栗原はどう見ているのか。

 アイルランドにはキックを多用したが、逆にスコットランドには真っ向勝負を選んだ。日本はどちらの「顔」で臨もうとしているのか。

「スコットランド戦が日本のイメージを変えたといっていいでしょう。蹴ってくるのか、それとも攻めてくるのか読めない分、南アフリカはプレッシャーを感じているとは思います。僕の予想では最初、真っ向勝負を挑んで、途中から蹴るという戦法を取ってくるんじゃないか、と。前掛かりにさせておいてからの裏へのキックは効果があると思いますから。

 ただ、南アフリカは世界で最もディフェンスが強い。そうなると展開はアイルランド戦に近いのかもしれない。田村選手のプレースキックで食らいつく、得点を刻んでいくことは十分に想定できます」

【次ページ】 ゲームキャプテンの“アシスト”。

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