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元日本代表キッカー栗原徹が解説。
田村優のPG、新しい工夫と修正力。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byGetty Images
posted2019/10/19 20:00
ゴールの右サイドから蹴るときも田村から見て左向きにボールを倒すのが新しい工夫だという。
普通とはボールを置く向きが逆。
「ゴールに対して、ボールの先端が正面、角度によってはやや左気味に倒して置かれているように見える。
普通、この位置で右利きのキッカーが蹴る場合、右側にボールを倒すのが言わばセオリー。アウトサイドインで足がボールに入っていくとなると、右に倒すことで逆に矯正されて真っ直ぐいく。
ボールを左に倒せば、巻く力が強くなってどんどん左によっていく可能性が強くなりますから。
田村選手の場合、ボールとの相性を考えてこのやり方にしたのでしょう。
これくらいの位置、距離ならアウトサイドインではなく、インアウトのような蹴り方でいこう、と。ボールの芯をしっかり捉えることを意識し、まっすぐ足を入れても右にスライスする傾向があるために正面から左寄りに置く形になっていると感じます。
右利きのキッカーはゴール右のポストを(目標地点の)端に設定して、左にズレもいいという考え方が普通。逆に今の田村選手は左側に設定して右にズレていいという考え方に見えます」
田村の工夫と微修正。
田村なりの工夫。ゴール左、正面、右とざっくり3コースに分ければ、正面と右が「新しい蹴り方」になっているという。
このアイルランド戦では前半6分に同じような状況で最初のPGがあった。しかしながら引っ掛かりが強く、左に外してしまっている。この感覚を踏まえて微修正を加えて4つのPGと1つのコンバージョンを成功させた。
五郎丸とはまた違ったタイプだという。例えに出したのはゴルフクラブである。