草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER
大野雄大、大島洋平のタイトル獲得。
舞い降りた「運」も実力のうち――。
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byKyodo News
posted2019/10/10 19:00
9月30日阪神戦、最優秀防御率のタイトルを確定させた大野雄大は4回途中で降板した。
「運」を生かしたのは大野の実力。
本来なら広島はその23日がシーズン最終戦の予定だったが、22日の振替日が27日になったことで、ジョンソンが登板可能となった。この時点でCS出場に王手をかけていた広島は、当然、ジョンソンを先発マウンドに送る。6回まで1失点だったが、7回2死二塁から暗転する。
打力に秀でているとは言いがたい木下拓哉に勝ち越し二塁打を打たれたのに続き、代打の堂上直倫に2ランをたたき込まれた。あっという間の失点でノックアウト。2.46だった防御率が2.59まで下がった段階で、初めて大野に逆転タイトルの可能性が出てきた。
すべてはイフの話になってしまうが、広島はこの試合に勝っていればCSが決まっていたし、そもそも22日に雨天中止となっていなければジョンソンの登板もなく、手中に収めていたはずのタイトルを取りこぼすこともなかった。雨と味方の援護を運とするならば、それを生かしたのは大野の実力だ。
堂上の2ランを防げていたら……。
付け加えるならば、30日の阪神戦での大野は絶好調だった。またもやイフの話で恐縮だが、ジョンソンがせめて堂上の2ランだけでも防げていたら、大野は10勝をかけて投げられるだけ投げたはずだ。10勝を放棄して4回1死で降板すると予想していた阪神ファンは、CS進出に朗報とばかり大いに喜んでいた。そして大野の後を継いだ投手から奪った点を守り切り、CSへと駆け上がった。
もしも広島の緒方孝市監督の退陣理由がBクラス転落にあるのだとすれば、痛恨の雨天中止であり、3失点だったということになる。チームのCS、ジョンソンのタイトル、監督の交代……。運命が変わってしまったのかもしれない。