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凱旋門賞、日本勢大敗のショック。
タフな馬場の攻略法は見つかるのか。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2019/10/07 11:50
日本勢で最先着はキセキの7着。ヨーロッパと日本の環境の差を乗り越えて凱旋門賞を勝つ馬は、いつ現れるだろうか。
直線で伸びたのは欧州勢のみ。
533mの直線で末脚を伸ばしたのはヨーロッパの馬だけだった。
ラスト400mを切ったところでエネイブルが先頭に躍り出た。
外からソットサスとジャパンが追ってくる。その後ろから、外に持ち出したヴァルトガイストが伸びてくる。
ラスト200m地点でもエネイブルが先頭をキープしている。ランフランコ・デットーリの叱咤に応え、史上初の3連覇に向けてストライドを伸ばす。
エネイブルが2馬身ほど抜けている。100回近い凱旋門賞の歴史で、初めての3連覇という偉業達成は現実のものになると思われたが、外からヴァルトガイストが凄まじい脚で差を詰めてくる。
ラスト100m地点でもまだエネイブルが前にいたが、勢いが違った。
ヴァルトガイストは、ゴールまで残り6完歩ほどのところで内のエネイブルを並ぶ間もなく抜き去り、先頭でフィニッシュ。GI4勝目が、念願の凱旋門賞初制覇となった。
勝ち馬から20馬身強離された7着。
管理するファーブル調教師は、ディープインパクトが3位入線後失格となった2006年のレイルリンク以来、史上最多の凱旋門賞8勝目をマークした。
エネイブルは1馬身3/4差の2着。3着はソットサス、4着はジャパン。
武豊が騎乗したフランスのソフトライトは、後方2番手から追い込んで6着。
キセキは、勝ち馬から20馬身強離された7着。ブラストワンピースはそこから10馬身以上遅れた11着、フィエールマンはさらに15馬身遅れた最下位の12着に終わった。
キセキは不良馬場の菊花賞を勝った馬で、管理するのは「世界のスミイ」こと角居勝彦調教師。ブラストワンピースは、今年イギリスのニューマーケットに滞在して英GIナッソーステークスを勝ったディアドラと同じ父ハービンジャーのグランプリホース。スタミナ豊富なフィエールマンは前走の札幌記念(3着)で洋芝にも対応し、鞍上はフランス人のクリストフ・ルメール。
上位争いしても不思議ではない馬ばかりだったので、ショッキングな大敗だった。