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武豊&ルメール両騎手「幻の表紙」。
あまりにカッコ良すぎるエピソード。

posted2019/10/08 08:00

 
武豊&ルメール両騎手「幻の表紙」。あまりにカッコ良すぎるエピソード。<Number Web> photograph by Yasuyuki Kurose

武騎手とルメール騎手「ちょっとした奇跡」のツーショット。武騎手のキャップをよく見ると……。

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Yasuyuki Kurose

 7月30日、不世出の名馬ディープインパクトが世を去った。Number987号の秋競馬特集では、忘れ得ぬ王者をメインテーマのひとつに据え、改めてその偉大な事績に思いを馳せることにした。

 となると、全14戦の鞍上を務めた武豊騎手に話を聞かないわけにはいかない。そこで実現したのが、ディープの国内唯一の敗戦である2005年有馬記念でハーツクライに騎乗して勝利したクリストフ・ルメール騎手との豪華対談だ。

 せっかくの機会である。写真でも、なるべく2人の様々な姿を見せたい。対談の際のフォーマルなスタイルだけでなく、その朝の調教の合間にツーショット撮影をお願いした。

 調教の日の朝は早い。

 取材陣も、まだ明けやらぬ5時半頃に栗東トレセンにスタンバイした。カメラマン黒瀬康之氏が、まだ朝焼けが残る空に「もしこれですぐ撮影だと、思ったより光が足りないですね」と気を揉むほどの時刻だ。

 ただ、お願いはしてあるものの、武騎手とルメール騎手ほどの大物の時間を2人同時に確保するのは簡単ではない。記事を担当するライターの片山良三氏も、「うまくいく確率は2割くらいじゃないかな」と心配顔だ。

2人が次々に調教に出る。

 6時前、次第に馬やジョッキーがスタンド前に集まってくる。ルメール騎手が姿を見せる。とにかく声をかけ、「Numberです」と挨拶だけはできたものの、すぐに乗りに出た彼が撮影のことまで把握しているのかどうか。正直不安である。

 騎手控え室に向けて、武騎手もやってきた。見間違えようのない長身痩躯。挨拶だけはするが、仕事前のジョッキーにあまりまとわりつくわけにもいかない。武騎手は言葉少なに坂路のほうへ調教に出た。秋シーズン前とあって、競馬記者やテレビもつめかけている。我々だけが取材できるわけではない。果たして2人を同時につかまえることなどできるのか。

 1本目の調教を終えたルメール騎手が帰ってきた。たちまち記者たちに取り囲まれる。武騎手はまだ戻ってこない。あ、もう行っちゃうんですか、ルメールさん……あーあ。時刻はおよそ6時30分。

 武騎手が入れ違いで戻ってくるが、こちらも次々に記者や関係者が列をつくるような状況。とてものんきに声をかけられそうにない。そんな中、片山氏が突撃して予定を確認してくれた。「やれるとしたら、次に戻ってくる7時20分くらいみたいだよ」

【次ページ】 ミルコまで乱入して、まさかのスリーショット。

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