オリンピックへの道BACK NUMBER
高橋大輔のスケーターとしての核。
「生涯、滑っていたいですよね」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKyodo News
posted2019/10/07 08:00
現役復帰後もアイスショーなど幅広く活躍していた高橋。来年からはアイスダンスに軸足を置く。
「もっと可能性があると思うんです」
昨年7月の現役復帰表明後、今年にかけて、何度か取材する機会があった。
「『氷艶』でも感じたことですが、フィギュアスケートにしかできない表現、魅力があると思うし、もっと可能性があると思うんです。もっと奥深いというか」
と、言ったことがある。
その言葉に限らず、一貫して感じられたのは、「スケートの表現を突き詰めたい、追求したい」という思いだった。
そして根底にあったのは、
「ずっとスケートがしていたい」
そんな思いだった。
「生涯、滑っていたいですよね」と笑顔で語った言葉にこそ、高橋のスケーターとしての核があった。
課題を語る高橋の表情は常に笑顔。
アイスダンスの世界へと導いたのは、直接には、村元のオファーだったかもしれない。
ただ、新たな世界へと足を踏み入れ、未知の自分へ向かう道のりが開けたのは、高橋の、その核があってこそだ。
課題は多い。
身長差は高橋が164cm、村元は161cmと3cmしかない。リフトなどを考えれば、体格にそこまで差がないことは大きな課題となる。そもそもスケート靴の形状からして異なる。
「ほとんど全部ですけど」
高橋も苦笑する。
でも、そうしたさまざまな課題を語る高橋の表情は常に笑顔だ。楽しそうだ。