松岡修造のパラリンピック一直線!BACK NUMBER

リオ銅メダルの廣瀬順子(パラ柔道)。
妻のメダルに夫・悠は何を思った? 

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松岡修造

松岡修造Shuzo Matsuoka

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photograph byYuki Suenaga

posted2019/10/07 11:00

リオ銅メダルの廣瀬順子(パラ柔道)。妻のメダルに夫・悠は何を思った?<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

松岡修造さんと廣瀬悠選手。夫婦関係、男女関係の相談・勝負の話で、勝ったのは……。

松岡さんが、大きく後ろに倒れ込んだ!

「バン」とまた大きな音が柔道場に響く。見れば、松岡さんが後ろ向きに倒れ込んでいる。この日もう、何本目の1本負けだろう。悠さんが自らの過ちに気づき、そこから自分を変えていったことに松岡さんは感銘を受けた様子だ。

松岡「順子さんに会って、気づけたことはどんなことでしたか」

「コーチとして見たとき、順子は本当にびっくりするくらい柔道のセンスがないんです。ただ、練習をやり続ける才能は人一倍ある。普段の練習相手は健常者が大半なんですけど、高校生や大学生に投げ続けられることがあるんですね。普通はイヤじゃないですか。それを順子は黙々とやり続けられる。それもすごい才能なんやって、順子から学びました」

松岡「順子さん、今の言葉は嬉しいですね。でも、そんなに才能がないんですか」

順子「ないです。リオで銅メダルを獲ったとき、地元の先生方に挨拶に行ったんですけど、皆さん時効が来たかのように『昔は一番弱かったのにね』など散々言われました(笑)。高校の先生が悠さんのところへ行って、『よくここまで強くしてくれた』って感謝の言葉を伝えてました」

松岡「それ、本当にすごいことですよ! そして2人のストーリーは、東京パラリンピックへとつながっていくんですね……」

 構成:小堀隆司

廣瀬順子(ひろせ・じゅんこ)

1990年10月12日、山口県生まれ。小学校で柔道をはじめ、高校時代にはインターハイに出場。大学1年の時に膠原病を患い視力が低下、一旦は柔道から離れるが、視覚障害者柔道に転向。2014年アジアパラ競技大会で銀メダル。
2015年に悠さんと結婚すると、2016年リオパラリンピックに出場し、女子57kg級で日本の女子選手として初の銅メダルを獲得した。2018年世界選手権で銀メダル。伊藤忠丸紅鉄鋼所属。

廣瀬悠(ひろせ・はるか)

1979年7月17日、愛媛県生まれ。小学校で柔道をはじめ、高校時代にはインターハイに出場。その後緑内障を患い、25歳で視覚障害者柔道を始める。2008年北京パラリンピックに出場し、男子100kg級で5位。
2015年に順子さんと結婚。2016年リオパラリンピックに出場し、男子90kg級9位。伊藤忠丸紅鉄鋼所属

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