松岡修造のパラリンピック一直線!BACK NUMBER
結婚を決意した廣瀬悠(パラ柔道)の
真意に、松岡修造がさらに切り込む!
posted2019/09/30 07:00
text by
松岡修造Shuzo Matsuoka
photograph by
Yuki Suenaga
松岡修造が、パラアスリートと真剣に向き合い、その人生を深く掘り下げていく『松岡修造のパラリンピック一直線!』第6回のゲストは、廣瀬悠さんと順子さん夫妻。ともに前回のリオパラリンピックに出場し、夫の悠さんは初戦敗退で涙を飲んだものの、順子さんは初出場で見事に銅メダルを獲得した。2人はともに視覚障害者で、日本の視覚障害者柔道を引っ張る存在である。
2人の馴れ初めについての話が続く中、付き合って10カ月。悠さんが愛媛、順子さんが東京という遠距離恋愛がうまくいかず、悠さんは別れを切り出した。しかし、順子さんはこの困難を乗り越えて夫婦になりたいと願い、自分からプロポーズを行った。そして……。
松岡「いったいどこがそんなに素敵なの?」
松岡「悠さん、順子さんから『私が愛媛に行くので結婚して下さい』と言われて、どんな気持ちになったんですか」
悠「いや、そう言われてもなあって。障害者同士はやっぱり生活がさまざま厳しいし、絶対に順子のご両親は反対するやろうと思ったんです。何しろ僕、バツイチやし、歳もいってるし、無理やろうと」
順子「そう。最初はそうやって結婚を嫌がっていたんです。でも、2日くらいしたら『結婚しても良いよ』って言ってくれました」
松岡「たった2日で? その2日間で何があったんですか」
順子「私が、これまで付き合ってきた中で、一緒に撮りためていた写真を送ったんです。ずっとLINEでやりとりしていたんですけど『あんなことも、こんなこともあったね』って。どの写真も、私が悠さんの隣ですごく幸せそうな顔をしていたから、悠さんも『こんなに幸せそうな顔をしてくれるんだったら結婚しても良いよ』って言ってくれて」
松岡「でもですね……。失礼を承知で聞きますが、順子さん、旦那さんのことはよく見えてますか?」
順子「フフフ、大丈夫です」
松岡「大変失礼なことをまた言いますが、順子さん、悠さんの、いったいどこがそんなに素敵なのだろう……。だって、順子さんは仕事を失ってもいい、柔道からも離れてもいい、知らない街に住んでもいい、だからあなたのところに飛び込みたい、ってことですよね? いったいぜんたい、悠さんのどこに惹かれたの?」
順子「今もそうなんですけど、どこの道場に行ってもすぐ誰とでも仲良くなるし、私から見ると、本当にみんなから好かれているんです。たまにひどいことも言うんですが、ちゃんとそこに優しさがあるというのも見えるので……」
松岡「ほほう……。悠さん、そうなんですって。どうですか?」