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新体操日本代表が欧州勢破り金メダル。
“恋”の指導やルール変更も追い風に。
text by
長谷部良太Ryota Hasebe
photograph byRyota Hasebe
posted2019/09/26 20:00
団体総合決勝でボールの演技を終え、歓声に応える日本メンバー。東京五輪前年に大きな結果を残した。
「本当にいろんな人たち」の献身が。
厳しい練習をともにしながら、表舞台に立つことさえできなかったメンバーもいる。ロンドン五輪の直前には、当時の主力だった遠藤由華がけがでチームを離脱した。
補充メンバー候補として急きょ招集されたのは、個人の全日本女王だった山口留奈ら。山口は結局メンバー入りしなかったものの、引退後の現在は団体のコーチとして厳しくも献身的な指導で選手の意欲を引き出している。
そうした紆余曲折を選手の中で誰よりも長く、深く見てきた松原が思い浮かべる「本当にいろんな人」たちは表には出なくとも、現在の強い「フェアリー」をつくり上げている。元キャプテンの田中さんは、松原の言葉を知って感極まったという。
「私もその一員になれたのかなと思うと、ぼろぼろ泣いてしまいました。すごく報われたというか。これまでの先輩方も、同じように心を動かされたと思います」
個人のメンバーも素質十分。
一方、3人が出場した個人の日本代表は今回、入賞を果たすことができなかった。
15歳だった2013年からロシアに渡って技を磨き続ける22歳の皆川夏穂は、練習通りの演技を本番でやり切れず、個人総合13位。得意のフープを含め、4種目とも種目別の決勝にも残れなかった。
ただ、山崎強化本部長は大岩千未来、喜田純鈴を含む個人の面々にも団体メンバーと同様、上位に食い込むだけの素質があると期待している。「みんな、持っているものはすごくある。『絶対にできるんだ』という練習を積み重ねて、試合でやり切ることができれば、もっともっと上に行けると思います」
東京五輪に向け、日本の看板を背負ったそれぞれの戦いに今後も注目したい。
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