ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
待望のシニアデビュー戦は66位タイ。
苦しむ丸山茂樹に盟友たちがエール。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYoichi Katsuragawa
posted2019/09/24 18:00
シニアデビューを果たした丸山茂樹。3年ぶりの競技復帰となったコマツオープンでは72人のうち66位タイに終わった。
トンネルの中にいる「世界の丸山」。
「世界の丸山だ」
そういう眼差しを向けられていることがイヤでも分かる。実際にそうした声も飛ぶ。だからこそ、プレーを終えた本人の表情は失望に満ちた。
ティショットへの悩みは最後まで解消されなかった。小松CCは両サイドにペナルティエリアが続くホールが多い丘陵コース。
「OBがこれだけあると自分には苦しい。残ったとしても(2打目が)トラブルショット、傾斜からのショットしかなかった」
曲げたボールが林にとどまれば技術で応戦できるが、OB杭の向こうであればそうはいかない。第1打に寛容な、米国の広いコースなどとは勝手が違う。
復調の光がひとすじでも差し込んだかと思えば、すぐに遮断される。レギュラー時代の'16年以来、実に3年ぶりのツアー競技では得たのは、ここがまだトンネルの中だという確信に近い実感だった。
日本シニアオープンを欠場。
「これ(イップス)ばっかりは”病気”なので、立ち向かわないといけないのは分かる。でも長年付き合ってきて、いい忘れ方ができないかなと思っていたが、練習場で良い球を打てるのに、コースに行っていきなりあのショットが出ると、相当ポジティブな人間でもしょげると思う」
見る人を喜ばせてこそのプロのアスリート。存在意義を知る故、丸山は自らを「機能していない。プロゴルファーとしては」と厳しく切り捨てた。
「モチベーションを保つのが大変。“ただゴルフをやっている”だけ。果たしてそれに深い意味があるか……と考えなきゃいけない。理由を考えないと前には進めない。どこに照準を合わせたらいいか分からない」
続けて出場を予定していた翌週の日本シニアオープンの会場に、丸山の姿はなかった。右股関節痛を理由に、週の初めには欠場が発表された。