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待望のシニアデビュー戦は66位タイ。
苦しむ丸山茂樹に盟友たちがエール。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYoichi Katsuragawa
posted2019/09/24 18:00
シニアデビューを果たした丸山茂樹。3年ぶりの競技復帰となったコマツオープンでは72人のうち66位タイに終わった。
盟友・深堀も丸山を思いやる。
「僕としてはやっぱり、最初のシニアオープンに一緒に出たかった」
そう視線を落としたのは盟友の深堀圭一郎だった。丸山よりは1つ年上。昨年10月に50歳になった。
シニアデビューを控えていた丸山とは試合会場でなくとも一緒にプレーすることが何度かあるため「プライベートのときはそこそこ良いのが、お客さんが入るとなかなかうまく行かない」と現状をよりよく知る人物のひとりだ。
肉体的な問題はともかく、ハートに刻まれた傷が心配。次の出場試合は未定だ。
「丸山は今、自分と戦っている。周りの人はどうしても彼のすごかったときと重ねて見るから、それと現状のギャップにも苦しんでいると思う。今後は分からないけれど……時間がかかっても、いつかまた踏み出すのを待っていたい」
深堀はそう思いやる。
「自分が納得するプレーができていないと」
そして、伊澤である。
17年前の2002年、ふたりはメキシコで行われたワールドカップで、日本に45年ぶりに優勝をもたらした。以降、そのタイトルに手をかけた日本人ペアは現在までいない。
日本ツアー16勝。マスターズで’01年に4位タイに入った伊澤は昨年から主戦場をシニアツアーに移し、ことし3月に51歳になった。
丸山を思って言う。
「まあ、本人が一番ね、良し悪しが、どのくらい自分がやれるのか分かる」
7月にはエキシビションマッチでダブルスを組んだ。戦友の行く末を、ある程度は予見していたのかもしれない。
「プロはスコアが一番大事なんだけど、自分が納得するプレーができていないと。3日も、4日も『ハア、ハア……』で終わってしまうと、やっぱりね。もちろん調子の悪いときはあるけれど、限度というものがあるから。コースにもよるけど、例えば『悪くても3オーバーくらいではきょうは回らなきゃいけなかったのに……』とか、『調子が良いから5アンダー、6アンダーと行かなきゃいけないところが2アンダーしかいかなかった……』とか」
高い理想を追い、時代をリードしてきた選手たちだからこそ、その“落差”にがく然とする。
「やるからには『優勝しよう』と思うわけであって。『15位や20位でいいや』であれば、そうは思わない。試合の流れやいろんなシチュエーションがあるだろうけど、彼のなかでは『いまベストなプレーをしても優勝には届かない』というのが見えたのかもしれない」
ただひたすらに、勝ちたい。年齢を重ねても、彼らの源流が何一つ変わらないからこそ、心身を絶望感にも浸すことになる。