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ペップ、クロップを抑え最優秀監督!
プレミアの国産監督はなぜ増えた?
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2019/09/16 11:50
シェフィールド・Uのクリス・ワイルダーは、グアルディオラやクロップよりも票を集め、最優秀監督に輝いた。
「彼はブライトンで終わる玉じゃない」
ブライトンの新任監督グレアム・ポッターはリーダーシップと感情知能の修士号を持つ読書家だ。
この44歳の元U-21イングランド代表は、30歳で現役生活に見切りをつけると、大学に通いながら指導をし、2007年には女子ワールドカップに出場したガーナ女子代表のテクニカル・ディレクターを務めた。
プロの監督として初めて就任したのは当時、スウェーデンの4部リーグに所属していたエステルスンド。
ポゼッションをベースとしながら、フレキシブルに対応するモダンなフットボールを標榜し、5年間でチーム史上初の1部に引き上げただけでなく、その後にヨーロッパリーグ予選にまで導いて注目を浴びた。
そして昨シーズン、スウォンジーに招かれ、2部で10位に終わったものの、今オフに変化を求めていたブライトンが白羽の矢を立てたわけだ。
集団のオーガナイズはもちろん、選手の内面に語りかける指導で、多くの教え子を魅了し、北欧時代に薫陶を受けた者が、「彼はブライトンで終わる玉じゃない。いずれ世界屈指の指導者になる」と『ガーディアン』紙に語っているほどだ。
音楽やナイトライフで知られるブライトンの街にふさわしい、面白いフットボールが展開されるだろう。
指導歴43年の72歳、今年も健在。
第4節を終えた現在、驚きの4位につけるクリスタルパレスは、3シーズン目のロイ・ホジソン監督が統率する。
指導歴は実に43年、現在72歳の御大は、今年2月のレスター戦で、サー・ボビー・ロブソンの記録を塗り替えてプレミアリーグ最年長監督となった(ちなみに3位はサー・アレックス・ファーガソン)。
それにしても、ホジソン監督の熱意には恐れ入る。1976年にスウェーデンで指導キャリアを歩み始めた(偶然にもポッター監督と出発地が同じ)彼は、同国のフットボールの近代化を助けたあと、スイスやイタリア、デンマーク、UAE、ノルウェー、フィンランドを渡り歩き、母国ではリバプールなどを指揮。
2012年からはイングランド代表を率いたが、EURO2012は8強どまり、14年W杯はグループステージ敗退、そしてEURO2016では16強でアイスランドに敗れて厳しい批判に晒された。
それでも翌年に開幕4連敗を喫したパレスの後任を任され、自身も3連敗スタートとなりながら、最終的に11位に(開幕7連敗からのプレミア残留は史上初)。昨季も手堅く12位でフィニッシュし、今季は第3節の敵地でのマンチェスター・ユナイテッド戦で白星を挙げるなど、上位をかき回している。