水沼貴史のNice Middle!BACK NUMBER
水沼貴史がCLで最も注目する選手。
アトレティコ、ロディの「怖さ」。
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph byGetty Images
posted2019/09/16 11:30
21歳のレナン・ロディに対して6年間の契約を結んだアトレティコ。これで当面、左サイドバックは安泰になった。
「怖さ」もある左サイドバック。
実はロディ、リーガ開幕戦でいきなりイエローカードを2枚もらって退場しているんです。
ある意味、ド派手なデビューとなりましたが、ただ注目すべきは第3節のエイバル戦。ロディ不在の第2節で指揮官シメオネは珍しく3バックを採用し、勝利を収めました。私はエイバル戦でもてっきり3バック継続を予想していましたが、シメオネはすぐさま4バックに戻し、ロディをスタメンに復帰させます。この采配を見ても、すでにロディへの信頼が厚いことがわかりました。
エイバルの乾(貴士)とマッチアップした時間は少なかったですが、ロディはこの試合で自分の特徴を見せつけ、同点ゴールをアシストするなど、逆転勝利に貢献しました。
ロディの良さは、なんと言ってもファーストタッチのうまさ、柔らかさ。特にロングボールに対してファーストタッチでグッと前に出て相手を置き去りにするスピードと迫力があります。さらにエイバル戦で決めたアシストのように、インサイドにボールを運ぶこともできるので、ゴールに直結した働きも期待できる。
ビルドアップから参加してゲームを作ることが得意な「うまいサイドバック」はたくさん出ていますが、ロディは最近では少ない「怖さ」も併せ持っているサイドバックだと思いますね。
マルセロというよりロベカルか。
同じブラジル人でたとえるならば、マルセロというよりはロベルト・カルロスに近いかもしれません。
マルセロはまず足元でボールを受けたがる選手ですが、ロディはまずラン、そしてスペースでボールを受けることを優先するタイプ。ロベルト・カルロスほどのFKがあるかどうかは未知数ですが、相手を抜き去る速さは通ずるものを感じますね。
近年の選手で一番近いタイプはジョルディ・アルバ。
メッシという最高の相棒とのコンビネーションで相手陣形を崩し、時に中に持ち込んでゴールに直結する働きをする。ロディはアトレティコで「彼にとってのメッシ」を見つけられるかどうかも重要になってくると思いますね。ジョアン・フェリックスなのか、力強さが増してきた大黒柱のサウールか。現時点で相性の良さを感じるのは途中交代で出てくることが多いビトーロ。エイバル戦で決めたアシストは、彼のゴールをお膳立てしたスルーパスでした。