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ラグビーW杯史に残る伝説のトライ。
ヘスケスが語る南アフリカ戦秘話。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byWataru Sato
posted2019/09/13 11:30
前回W杯の南アフリカ戦で逆転トライを決めたヘスケス。「それまでの練習の賜物であり、メンタル的にも準備していたから」こそ実現できたと話す。
「ベスト8入りを期待しています」
W杯へ向けた競争に身を置かなくても、ラグビーに関わることはできる。関わっていきたい。ラグビーへの純粋な思いが、ヘスケスの胸で立ち上がっていった。
「ラグビーは私の人生そのものです。大人相手のコーチングや子どもたちに教えるといったことだけでなく、どんな形でもいいからずっとラグビーに携わっていたいのです」
開幕が間近に迫ったラグビーW杯の話題になると、大きな瞳が輝きを増した。「もちろん気になります、楽しみですよ」と、ヘスケスは声を弾ませた。
「2017年にパリでフランスと引き分けた試合は、とても印象に残っています。先日のパシフィックネーションズカップでも、チームが積み重ねてきたものが感じられました。日本人は頭を使って戦うことができ、今回のチームはサイズのある選手も多い。キッキングゲームもできるし、ポゼッション重視のゲームもできる。戦術の幅はかなり広がったと思いますね」
歴史を振り返るだけでは、現状維持のままである。
歴史を塗り替えることで、新しい景色が広がっていく。
「ベスト8入りを期待しています」
わずかな不安をはるかに上回る高揚が、ヘスケスの表情に浮かんでいた。