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ラグビー代表と1997年のサッカー。
競技の命運を背負う、という共通点。
posted2019/08/30 20:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
ラグビーW杯に挑む日本代表に、1997年のサッカー日本代表が重なる。
自国開催のW杯に臨むチームとしてなら、'97年ではなく2002年の日本代表では、と思う方がいるかもしれない。チームが置かれた立場としては、そのとおりだろう。
個人的に共通点を見つけるのは、チームのメンタリティである。
'97年のサッカー日本代表は、翌'98年に開催されるフランスW杯アジア予選を戦った。オマーン、マカオ、ネパールと対戦した1次予選は難なくクリアしたが、9月開幕の最終予選ではジェットコースターに乗っているかのような日々を過ごしていく。
ウズベキスタンとの初戦に6-3で勝利し、第2戦は敵地アブダビでUAEと勝点1を分け合う。ここまでは、用意したシナリオどおりだった。
2カ月の集中開催、ダメージは甚大。
ところが、韓国との第3戦で景色は暗転する。山口素弘の芸術的なループシュートで先制するも、80分以降に連続して被弾し逆転負けを喫した。
中央アジアへ遠征した第4戦でも、格下のカザフスタンと1-1で引き分けた。ロスタイムの失点は韓国戦の再生映像のようで、試合後には加茂周監督が更迭される。
指揮官交代という劇薬も、結果には結びつかない。1週間後のウズベキスタン戦、ホームへ戻ったUAE戦は、どちらも1-1の引き分けに終わってしまう。
アジア最終予選は5カ国によるホーム&アウェイで争われ、首位チームが出場権を獲得し、2位チームは別グループとの第3代表決定戦に臨む。UAE戦まで6試合を終えた段階で、日本は韓国の首位通過を許し、自力での第3代表決定戦の可能性をも失った。
当時の最終予選は、およそ2カ月間の集中開催だった。移動を繰り返しながら戦ってきたことで、疲労は確実に蓄積している。何よりもここまでの戦いで、選手たちはメンタル的に強烈なダメージを被っていた。