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ラグビー代表と1997年のサッカー。
競技の命運を背負う、という共通点。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2019/08/30 20:00
ジェイミー・ジョセフのチームは確実に4年前よりも強くなっている。あとは本大会で結果を出すのみだ。
ラグビーW杯の盛り上がりは正直控えめ。
'15年以降の4年間で、国内のスポーツ環境も変わっている。'16年に開幕したバスケットボールのBリーグは、シーズンを重ねるごとに熱狂の度合いを増している。'18年には卓球のTリーグもスタートした。プロ野球やJリーグも含めて、スポーツ観戦の選択肢は広がりを見せている。
ラグビーW杯の認知度は、7割を超えたとのデータがある。開催都市や出場国のキャンプ地では、期待と興奮が高まっているのだろう。しかし、全国的な盛り上がりはかなり控え目と言っていい。
9月20日の開幕戦でロシアに勝てば、一気に盛り上がるという声は聞こえている。9月6日の南アフリカとのテストマッチに勝てば、開幕を待たずに火が付くのでは、との見立てもある。
では、南アフリカに敗れたら? ラグビー関係者は冷静に受け止めても、一般的な期待値は下がってしまうかもしれない。
昨年11月のテストマッチで勝利したロシアを退けても、プール戦と呼ばれるグループリーグでは世界ランキング4位のアイルランド、同7位のスコットランドが待ち受けている。
準々決勝へ進出できる2位以内を、最終的に逃したら?
南アフリカを撃破した4年前でさえも、ラグビーへの注目度は持続力を保てなかったのだ。野球やサッカーの背中は遠のき、バスケットに迫ることも難しいだろう。
「本当にラグビーだけのために純粋な気持ちで」
だからこそ、ラグビー日本代表は史上初のベスト8入りをノルマとするのだ。自国開催のW杯は黄金の好機であり、日本ラグビー界が変わるラストチャンスとも言うことができる。
「代表でプレーしている選手たちは、本当にラグビーだけのために純粋な気持ちでやっています。ジャージに対する誇り、そしてワールドカップで日本を代表して戦うという気持ちが、非常に大きな力になると思っています」
31人のメンバーを発表した記者会見で、ジェイミー・ジョセフHCはこう話した。ジャージを身にまとう誇りはラグビー界の未来を背負う責任感と使命感を呼び覚まし、選手たちの支えとなっているのだ。