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香川のスペイン2部移籍、驚きと納得。
レアルやバルサのことは一旦忘れて。
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2019/08/31 11:50
香川真司はヨーロッパでもビッグネームである。そんな彼がサラゴサに本気で馴染もうとする姿は伝わるはずだ。
サラゴサでの香川は、いつも楽しそうだ。
今回の移籍についてなるほど、と思ったのはスペインへのこだわりを兼ねてから聞いていたからだ。10代のころから、バルセロナやイニエスタへの憧れを口にすることは多かった。
ただ、スペインの外国人枠制度、1部のレベル、香川自身の現在のコンディションや気持ちの状況を整理し、導き出した答えがこれだということなのだろう。なるほど、だ。
何がなんでもスペインと思ったのと同時に、安定した出場機会と、それによる自身の立て直しをしようとしていることが伝わる決断だ。
サラゴサで試合に出て、練習をし、話をする香川はどのシーンを切り取っても楽しそうだ。まだ引っ越して1カ月も経っていないから気分もフレッシュなのだろうが、それを差し引いても、ドイツにはない太陽と陽気の下でいきいきとしているように見える。
英語や通訳に頼らず、スペイン語を学ぶ。
今、香川にあるのは、スペインリーグで一流たちに伍していこうという気概ではなく、レアル・サラゴサというチームにきちんと馴染んで結果をだしていこうという決意である。
レアル・マドリーやバルセロナとの対戦は「一旦忘れて」あくまで「ここで1部昇格のために全てを捧げる」という覚悟だ。
スペイン語を勉強するのか、と尋ねたときのことだ。え、何を言っているの? といったテンションで香川は即答した。
「もちろん!」
香川であれば、イングランド経験もあるから英語は使えるし、通訳に頼ることだって可能なはずだ。だが、自分で勉強すると断言する。
「今まで知り合ったスペイン人選手は結構英語できたんだけど、ここは思ったよりもみんな英語できないから」