【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER
「プロ化」の意味、わかってますか?
日本スポーツ界の悪癖、親会社依存。
posted2019/09/01 19:00
text by
池田純Jun Ikeda
photograph by
Hideki Sugiyama
今年の夏も、全国高校野球大会、甲子園が盛り上がりました。
意外に思われるかもしれませんが、実は私は「甲子園にはビジネスチャンスがある」という一元的な考え方には反対の立場です。
もちろんあれだけ人気があるわけですから、ビジネスにすることは可能でしょう。
でも日本の世論を考えても、甲子園をビジネス目的で語ることは許されないと思います。
一番の大きな理由は、高校野球は教育だからです。
もちろん、選手たちの環境を整備したり野球を普及するための原資を集める目的でお金を集めたり、ビジネス化するのはいいと思います。
でも、「ビジネスがしたい」ならプロ野球でいいのではないでしょうか。
もし突出した実力の選手がいるならば、すでにあるプロ野球に彼らが出られるようにする特例を認めればいいのであって、教育である高校野球を無理にビジネス化する必要はないと思っています。
似た話で言えば、先日アメリカの『Fortnite』というゲームのeスポーツ大会で16歳が3億円の賞金を手にしてニュースになりました。これも、高校生の大会をプロ化するのではなく、プロの大会で高校生が活躍したケースでしょう。
「プロ化」の定義とは何か。
これは、私がこのところ感じていることとつながってきます。
「日本のスポーツ関係者は、“プロ化の本当の意味”を、わかっていないのではないか」――。
プロ化、という言葉をわかりやすく定義すれば、それは「お金と意思決定の全てが、その組織の中で回ること」です。
これが、プロの仕事としての大原則で、リーグ全体でも、チームでも、選手でも同じです。