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バスケW杯へ、海外挑戦で得た覚悟。
比江島慎「代表に捧げているんです」
text by
石川歩Ayumi Ishikawa
photograph byKiichi Matsumoto
posted2019/08/23 20:00
八村、渡邊といった新たな得点源となるプレーヤーが加わる中で、比江島(右から2人目)のチーム内での役割もいま大きく変わろうとしている。
3試合無得点に、落ち込んだが……。
今年のサマーリーグは比江島、八村、渡邊、馬場雄大の4人の日本人選手が参加した。これは多くの日本人に、サマーリーグで複数の日本人選手を応援することの楽しみを与え、Bリーグからサマーリーグに参加できる可能性を切り拓いた出来事でもあった。
比江島は確かにそのうちの1人であったし、日本からも多くのファンが応援していただろう。しかし、比江島に届いていたのは、また別の声だった。
「皆さんのサマーリーグの見方が、出るからには活躍しないといけないというか、(活躍しないと)叩かれるじゃないけれど……けっこういろんな声が聞こえてきて、ショックでした。他の3人と比べて、彼らがすごい活躍をするから、プレッシャーもあった。3試合に出て、得点できなくて、気持ちは落ちていました。
そのタイミングで、(宇都宮ブレックスHC・安齋)竜三さんが来てくれて、気楽にシュート1本でも決めてくればいいよって言ってくれて、気持ちは楽になりました」
「絶対にアメリカに行って良かったんだって」
サマーリーグの無得点は、日本で陽のあたるバスケの道を歩んできた比江島にとって、かなり悔しい思いをした経験だっただろう。しかし、この1年間、どんな状況にあっても努力を積み重ねてきた日々は、比江島の心を強くしていた。
「サマーリーグが終わって、気持ちをW杯に切り替えました。日本に帰ってきてすぐに代表合宿が始まったので、もう、下を向いていられないというか……。
W杯のアメリカ戦はすごい雰囲気になると思うので、サマーリーグの雰囲気を経験できて良かったし、アメリカ代表がやってくるだろうNBA最高峰のオフェンス・ディフェンスシステムを学んで経験ができた。サマーリーグは普通では経験できないことなんだから、絶対にアメリカに行って良かったんだって、そう思うしかないじゃないですか? そう思うようにしています」
サマーリーグのプレーについて、落ち込むこともあるのだろう。しかし、落ち込むのは全てをやりきったあと、落ち込む以外にもう何もできなくなってからでいい。そして、比江島のそのときは、ずっとずっと先のことだろう。