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明石商・狭間善徳監督の“馬淵愛”。
喋りも熱さも飾らなさも瓜ふたつ。 

text by

中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byHideki Sugiyama

posted2019/08/19 19:00

明石商・狭間善徳監督の“馬淵愛”。喋りも熱さも飾らなさも瓜ふたつ。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

明石商業の狭間善徳は、明徳・馬淵イズムを継ぐ者である。多様性は甲子園の魅力である。

馬淵監督「とにかく野球が好きよ」

「僕が明徳におった頃、明徳のことをとやかく言う人は確かにおった。あんだけ選手集めとったら、勝てるに決まっとると。でも、そう言う人に限って、でもお前、どんだけやっとんねんっていう人ばっかりやった。明徳はやり込んで、やり込んで、強くなったんですよ。

 あの頃、馬淵さんは、納得がいかんかったら夜の12時過ぎまで練習してましたから。僕が馬淵さんから教わった最大のことは、命がけでやるゆうことですよ。僕も、グラウンドで倒れてもいいと思ってますから。その覚悟がなくなったら監督辞めますよ」

 狭間は朝の自主練習にも必ず顔を出すし、夜も選手が全員帰るまでは絶対に帰らない。もし、用事があって帰らなければならない場合は、選手も一緒に帰らせる。監督が誰よりも長く選手と時間を過ごす。それこそが馬淵と狭間の最大の類似点だ。

 師である馬淵は、狭間のことをこう評する。

「とにかく野球が好きよ。根は真面目。そんで、どっちかいうたら、策士に見えるけど正直やで。喜怒哀楽がはっきりしてる。野球にはまり込んでしまうから、周りの目も気にせず、ガッツポーズも出てしまう。

 そういうところで誤解されることもあるやろうけど、見たまんまの男。僕と一緒で、かっこつけたくてもできないんよ」

人懐っこくて飾らないのもそっくり

 大会期間中、空き時間はほとんど相手チームの映像を繰り返し観ているという狭間に、夜、飲みに出かけることなどはないのかと問うと、目を丸くして言った。

「ぜんぜんないですよ!」

 そして、いたずらっぽい笑みを浮かべ、こう続けた。

「今度、おごってくださいよ」

 人懐っこくて、飾らない人柄。そこも馬淵とそっくりである。

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