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海星の「たまたま超攻撃的2番」、
大串祐貴の変身を監督は信じるか。 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byKyodo News

posted2019/08/12 18:00

海星の「たまたま超攻撃的2番」、大串祐貴の変身を監督は信じるか。<Number Web> photograph by Kyodo News

強打の2番打者・大串祐貴のホームランに喜ぶ海星ベンチ。結果として策がハマったのならば、それが有効な策なのだ。

一か八か、ストレート狙いが的中。

 ただし、この日のホームランは、追い込まれた状況で、大串の読みが勝った一打でもあった。

「変化球が多かったんですけど、あそこは一か八か、ストレートに張ってました」

 そのことを加藤に伝えると、ほんの少し反省の表情を浮かべた。

「頭、かたいもんで……。大串は成長しているのでしょうが、先入観がなかなか抜けないのかもしれません」

 大串はこの日、守備でもファインプレーを見せた。3回裏、聖光学院の先頭、清水正義の当たりは三塁線を破った。清水は二塁に到達したが、ファーストを守っていた大串は清水が一塁ベースを踏み忘れていることをアピールし、それが認められアウトに。先制されかねないピンチを回避することに成功した。

 大串は「自分も見ていた」と主張するが、加藤はベンチが気づいて大串に伝達したものだとばかり思っていたという。

「本人も気づいたって言ってました?」

 その目には、明らかに疑いの色が浮かんでいた。

「やっぱりバント、エンドランも」

 指揮官の信頼感はイマイチだが、大串のソロホームラン、アピールプレーもあって、海星は聖光学院を3-2で振り切り、17年ぶりの白星を飾った。

 それでも加藤は世界的ブームの「攻撃的2番」にはあくまで懐疑的だった。

「ランナーが一塁の場面で強攻してアウトとかになると、もったいないなー、と思っちゃうんで。やっぱり僕はバントもできて、エンドランもできる2番が理想ですね」

 そうは言っても「たまたま」が奏功することもある。それが野球だ。

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