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全英制覇・渋野日向子、笑顔の力。
「見たことがない」米TVアナも驚愕。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byKYODO NEWS
posted2019/08/05 17:00
最終ラウンドでも観客に笑顔でハイタッチをしていた渋野。
タイガー・ウッズが復活優勝したときも。
これまで四半世紀の間、米ツアーやメジャー大会で誰かの勝利を取材するたびに、私は何度も何度も「笑顔が力になった」と書いてきた。
つい最近もそうだった。タイガー・ウッズが昨年のツアー選手権で復活優勝を遂げたときも、今年のマスターズでメジャー15勝目を挙げたときも、「笑顔が力になった」と書いた。
だが、それはもう少し詳細に書けば「大観衆の笑顔が力になった」、あるいは「周囲のサポートがウッズを笑顔にしてくれた。それが力になった」だった。
今年、全米オープンを制したゲーリー・ウッドランドは「家族の応援や笑顔が僕の力になった」。そして、もう1つ、ウッドランドの場合は、以前から交流のあったダウン症の女子大生ゴルファー、「エイミーの笑顔が僕の力になった」。
自分の笑顔で大観衆を笑顔に変えた。
北アイルランドで開催された全英オープンを制したシェーン・ローリーは「アイリッシュの人々の応援と笑顔が僕の力になった」。
だが、渋野の場合は、彼女自身が笑顔で力を出していた。
その笑顔で大観衆を笑顔に変え、大観衆を味方につけ、ひいては、そこからもたらされた応援に彼女が押し上げられていた。
すべての始まりは、彼女の笑顔。笑顔が力になり、笑顔で力を出し、笑顔で勝利した渋野日向子――その勝ちっぷりは、これまでずっと笑顔の力に着目しながらゴルフを書いてきた私にも、取材者として、書き手としての喜びをもたらしてくれた。そう、私も彼女のおかげで笑顔にさせてもらった。