スポーツ百珍BACK NUMBER
神戸とバルサが「ファミリー」化。
試合より気になった結束の内容とは。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byAFLO
posted2019/07/30 20:00
ブスケッツ(左)ら旧友との久しぶりの再会となったイニエスタ。プレーだけでなく、バルセロナとの橋渡し的な存在として担う役割は大きい。
特設ブースにあったのは……。
スタジアム入り口では、イニエスタやポドルスキら神戸の選手が並んだ写真の横で、バルサストアのテントが立ち、両クラブのファン・サポーターが長蛇の列を作っていた。日本ツアーに来たクラブがこういった物販をやること自体は普通だ。
驚いたのは、その横にあるバルサの特設ブースだった。そこにいたMCは、こんな言葉でバルサファン、そしてヴィッセルサポーターの注目を集めていた。
「ここにバルサが獲得した3つのチャンピオンの証があります!」
黒山の人だかりの中で背伸びしてみると、そこには3つのトロフィーがあった。それらはCL優勝クラブに贈られるビッグイヤー、そしてラ・リーガ、スペイン国王杯のレプリカだった。
トロフィーは「兄弟」の証?
これまで多くのメガクラブが日本ツアーを実施してきたが、トロフィーが持ち込まれたのは、かなり珍しい。それもどれか1つだけでなく、3冠と表現されるタイトルすべてである。まったく出し惜しみしなかったのは、“兄弟の杯”をかわした証なのでは、と感じた。
「バルサは予算面でも選手のレベルという意味でも、ヴィッセル神戸のはるか上にあるチームだと思う。そういう意味ではある程度、対等な試合ができたんじゃないかなと思っています」
サンペールはミックスゾーンでこのように話していた。クラブの歴史などを踏まえると、バルサが「兄」でヴィッセルが「弟」と捉えるのは、自然なことだろう。
果たして偉大な兄に、どれだけのスピードで弟が追いついていけるのか。