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古典的守護神と指名クローザー。
ツインズ37歳監督の柔軟な発想法。
posted2019/07/20 11:30
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Getty Images
オールスターが明け、今季のMLBも残すところ70試合前後となった。こうなると、少し気が早いかもしれないが、ポストシーズン進出の可能性が高いチームを占いたくなる。陣容を見比べ、勝負の鍵を握るポイントも探りたくなる。
各地区の優勝チームは、かなり見えてきた。ア・リーグが、ヤンキース、ツインズ、アストロズ。ナ・リーグは、ブレーヴス、カブス、ドジャース。ただし後者の東地区や中地区は混戦で、ナショナルズ(6月は18勝8敗の好成績をあげた)やブルワーズにも、十分にチャンスがあると見る。
ワイルドカードになると、様相はもっと複雑だ。ア・リーグは、レイズ、レッドソックス、インディアンス、アスレティックスが、ほぼ横一線の状態で競っている。
とくにアスレティックスは、「勝率5割以上のチーム」に対して32勝24敗(7月16日現在)と勝ち越しているのが強みだ。終盤戦に強いチーム特性も見落とせない。一方のナ・リーグは、ナショナルズ、フィリーズ、ブルワーズが僅差で争っている。
古典的守護神の影が薄くなった。
そんな混戦状況にあって、ひとつ気になるポイントがある。
21世紀初めのマリアーノ・リベラやジョナサン・パペルボン、最近でいうなら、クレイグ・キンブレルやケンリー・ジャンセンといった「抑えの切り札=古典的守護神」の影が、どうも薄くなっていることだ。
代わりに、といってはなんだが、クローザーの役を複数の投手でやりくりしている球団が、今季はことのほか眼につく。ポストシーズン進出候補に挙げたチームのうち、柱となる抑えの見当たらないチームはかなり多い。
ツインズ、レイズ、レッドソックス、フィリーズ、カブス……(アスレティックスも、ブレイク・トライネンの調子が悪い)。もっともカブスの場合は、6月に獲得したクレイグ・キンブレルが本調子と勝負勘を取り戻せば、古典的な方式に戻る可能性がある。