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古典的守護神と指名クローザー。
ツインズ37歳監督の柔軟な発想法。
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2019/07/20 11:30
MLB史上最速169.1キロのギネス世界記録を持つチャップマン。ヤンキース復帰の'17年以降はケガに苦しみ、昨年は中継ぎへの配置転換もされた。
クローザーの負担を軽くできる。
「3本の矢」の喩えではないが、こうなるとクローザーの心理的・肉体的負担はずいぶん軽くなる。
超人リベラや鉄腕トレヴァー・ホフマンなどを数少ない例外として、通常、クローザーの全盛期はそう長くない。連投は身体にこたえるし、口から心臓が飛び出しそうな局面にもしばしば遭遇する。
アロルディス・チャップマン(ヤンキース)やケンリー・ジャンセン(ドジャース)といった強豪チームの金看板でさえ、一時に比べて神通力が落ちていることは否めない。
ジャンセンの防御率は今季3点台だし、チャップマン、ジョシュ・ヘイダー(ブルワーズ)、ロベルト・オスーナ(アストロズ)といった古典的守護神も、今季は2点台前半の防御率をキープするのがやっとかもしれない。
この現象は、シーズン終盤の正念場やポストシーズン・ゲームで、どのように反映されるのだろう。「古典的守護神」にゲームを託すチームが、昔どおりの成果をあげるのか。
それとも「指名クローザー」を使い分けるチームが、相手球団や観客をあっといわせるのか。ちなみにいうと、年間30セーヴ以上を記録した投手は、2015年に21人いたのが、'18年には11人に減少している。