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古典的守護神と指名クローザー。
ツインズ37歳監督の柔軟な発想法。 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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photograph byGetty Images

posted2019/07/20 11:30

古典的守護神と指名クローザー。ツインズ37歳監督の柔軟な発想法。<Number Web> photograph by Getty Images

MLB史上最速169.1キロのギネス世界記録を持つチャップマン。ヤンキース復帰の'17年以降はケガに苦しみ、昨年は中継ぎへの配置転換もされた。

37歳の監督が試みている起用法。

 興味深いのは、ツインズのやり方だ。

 ツインズは、左右両腕の抑え投手を用意している。左腕のテイラー・ロジャースが13セーヴ(防御率1.69)、右腕のブレイク・パーカーが10セーヴ(防御率3.44)。彼らふたり以外にも、ライン・ハーパーやトレヴァー・メイをはじめとする4人の投手がセーヴポイントを挙げている。

 ツインズの監督は、37歳のロッコ・バルデッリだ。2003年に外野手としてメジャー・デビューし、その2年前にイチローが作った「4月の新人最多安打記録」を更新した人だが、現役時代は三振が多いことで知られていた。

 一時は「ジョー・ディマジオの再来」と騒がれもしたが、故障に悩まされ、意外と早く指導者の側にまわった。

 投手コーチのウェス・ジョンソンは、今季、アーカンソー大学のコーチからツインズのコーチへと転身した。大学のコーチが一足飛びに大リーグのコーチに就任したのは、史上初めてのケースだ。

「指名クローザー」という発想。

 バルデッリとジョンソンは、絶対的な抑えの不在というチームの弱点を、どうにかして長所に転換しようとした。いいかえれば、適材適所の投手起用。たとえば、相手の右打者にゴロを打たせて併殺を取りたい場面ではロジャースのシンカーが有効に働く、と読む。

 右打者の長打一発を警戒したいときは、ハーパーのスライダーを武器に用いる。左打者を抑え込みたいときは、「左に強く、三振が取れる」右腕メイの剛球をぶつける。

 要するに「指名打者」ならぬ「指名クローザー」の発想である。右(打者)には右(投手)をとか、左には左をとかいった従来の固定観念にとらわれず、柔軟な視点でデータを活用する。「抑え」とか「締めくくり」とかいった言葉に縛られず、「ゲームの終盤を切り抜ける」という発想で方程式を組み立てる。

【次ページ】 クローザーの負担を軽くできる。

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