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「カープはこのまま終わらない」
新井貴浩のエールと鯉党の想い。

posted2019/07/18 12:20

 
「カープはこのまま終わらない」新井貴浩のエールと鯉党の想い。<Number Web> photograph by Naohiro Kurashina

982号「カープに学べ」特集で対談、「赤ヘルの伝統」について大いに語り合った金本知憲さんと新井貴浩さん。

text by

鈴木忠平

鈴木忠平Tadahira Suzuki

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photograph by

Naohiro Kurashina

 そういえば今年のカープについて、新井さんが言っていた。

「今年、開幕から負けが込んで、最下位に沈んだ時だって俺はこのままじゃ終わらないと思っていた。そのくらいの選手たち、そのくらいの戦力があるんよ」

 昨シーズンまでリーグ3連覇を果たし、今シーズンは4連覇を狙ってのスタートだったが、4月は開幕からつまずいた。それを見て、やはり赤ヘル軍団は擦り切れてしまったのかと思いきや、5月に20勝を挙げて見事に立ち上がった。

 そして、また6月の梅雨空とともに連敗(6月28日のDeNA戦から7月10日の中日戦まで11連敗)したが、オールスター明けの後半戦スタートとともに立ち上がろうとしている。

 Number「カープに学べ」では広島出身のOBである金本知憲さん、新井貴浩さんにその強さについての対談をしてもらった。

 その席で3連覇の精神的支柱だった新井さんに聞いたのは、今のような骨太なチーム、カープ戦士たちをつくり上げたのは、やはり敗北の歴史だったということだ。

15年連続Bクラスの上に今がある。

「今のチームっていうのは(山本)浩二さんが切り開いた畑を、マーティ(・ブラウン)が耕して、野村(謙二郎)さんが種を蒔いた。勝てなかった時代が続いたけど、チームづくり、選手づくりにはそれだけ時間がかかるし、あの人たちの存在なしに、優勝はなかったし、このチーム、この選手たちもないと思っている」

 つまり、今日の幸せな日々は開墾から種蒔きまで15年連続Bクラスという苦闘の上に成り立っており、そういうチームがたかだか何連敗かしたくらいで、心配ご無用というのが新井さんの言い分だった。

 確かに選手個人もそうだし、球団としても、さらには街全体も、敗北から生まれて立ち上がってきた。

【次ページ】 「また負けましたよ」「へえ、ほうかあ」

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