野球のぼせもんBACK NUMBER
F・トーレスとの“熱狂の対面”で、
内川聖一が思い出した自分の原点。
posted2019/07/18 11:30
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Kotaro Tajiri
一流のプロ野球選手だって、ふとした瞬間に一人のスポーツファンに戻る時がある。
7月2日、ヤフオクドームで行われた記者会見に出席した内川聖一は、居合わせた我々報道陣もちょっと驚くほどの熱狂ぶりだった。
ホークスとJ1サガン鳥栖が競技の垣根を越えてタッグを組み『より多くの子どもたちにスポーツの持つ楽しさ、面白さ、感動を味わってもらいたい』との目的で設立された「スポーツキッズプロジェクト」が、今年で6年目を迎えたことを報告するために開かれた会見だ。両チームから1名ずつ選手が登壇。内川のすぐ隣に座ったのは、元スペイン代表FWのフェルナンド・トーレスだった。
「朝から緊張していましたよ」
内川なりのリップサービスかと思いきや、なかなかどうして真剣な様子だ。
「トーレスを知らない人なんていないでしょ! スペインでプレーをしていた頃から見ていましたよ。ヘアバンドをして走る姿が、すごくカッコよかった」
スパイクにサインをおねだり。
会見の中では、トーレスが今年8月23日のヴィッセル神戸戦をもって現役引退を表明していることについても触れた。
「ファンの一人として残念に思いましたが、世界を相手に戦ってきて、僕らには計り知れない経験をされてきた選手。決断には敬意を表したいし、キャリアの最後に日本を選んでくれたのはうれしく思いました」
会見が終わると、内川はいそいそとサッカースパイクを取り出してサインをおねだりしていた。よく見ると結構使い込まれている。
内川は昨年のオープン戦ではサッカー用スパイクで試合に臨んだことがあり、この時はオフの練習で実際に履いていたものを持参してきた。
「トーレス選手のモデルが出たというのを聞いて、すぐに購入して使っていたんです」